148 和解の提示
「始祖さま。お久しぶりです。お会いしたかったので今日は招いていただき感謝します」
まず恭しく挨拶したのはダビデだった。
「久しぶりだな、ダビデ。元気そうで何よりだ。そなた達には済まないことをしたと思っている…」
アダムは申し訳なさそうにそう言った。
自分達が女神の方に従ったことを後ろめたく思ってるのかな…。
「いいえ、始祖さまは悪くありません」
「そう言ってくれると助かるよ」
そう言って微笑むアダムの顔はとても穏やかだった。以前と変わらないと思わせるくらいに。
「ところで、今回はどのような用件で?」
ダビデが問うと、アダムは少し躊躇いがちに言った。
「実は、今日呼んだのは他でもない。食事を共にしながら、そなた達と話したいと思ったのだ。我々は価値観の違いから分裂してしまったが、いつまでもその状態でいるのは良くないことだ。意見の相違はあれど、これからはお互い歩み寄ってより良い関係を築いていこうではないか」
その言葉に私は衝撃を受けた。
(え……?それってつまり和解するってこと?)
てっきり対立したままだと思ってたから意外すぎる提案だった。でも確かにこのままずっといがみ合ってても仕方ないけど……。
私が困惑していると、ソロモンさんも同じだったようで私に顔を向けて、私達は顔を見合わせた。
「立ち話も何だから、席に着いてくれ」
アダム達がそう促してくれたので私達は席に着くことにした。
すると、ソロモンさんが私の手を取ってエスコートしてくれた。まるでお姫様みたいな扱いだったのでちょっと照れてしまう……。
「あ、ありがとうございます……!」
小声でお礼を言うとソロモンさんも小さな声で返してくれる。
「いや、君の隣に座りたかったから」
え?どういう意味だろう…。
本当は私もダビデの隣が良かったんだけど…でもソロモンさんがリードしてくれたのでおとなしく従うことにする。
「お、みんなもう集まってたのか!悪いな遅れて」
豪快な声で現れたのはカインさん。ユダさんも一緒のようだ。
2人もそれぞれ空いてる席に着いて、これで全員揃った状態になった。
事前の私達の念話による話し合いで、食事会の間は念のため、ユダさんが念話を発動させて対抗派だけでいつでも脳内会話ができるようにすることになってたんだけどーー
(あれ?ユダさん?)
だけど念話が始まらないーー?ユダさんはいつものようにクールな表情だけど心なしか焦ってるような…気のせいかな?
その時、ユダさんがこう心の中で思っていたのを私は知る由もなかった。
(念話が発動できない・・・?なぜだ?まさかーーーー)
読んでくださってる皆さま誠にありがとうございます。
来月から小説家になろうにて、いいね受付休止が廃止されるとのことです。
読んでいただけることが有り難いので、いいねは受け付けておりませんでした。読者様にあまり求めすぎたくないからです。
もちろんブクマや評価は大変励みになり大歓迎ですが。
ですが今回仕様改変とのことで……場合によっては連載中止を検討するかもしれません…。もう1つの小説「聖書のダビデ王、異世界にTS転生してしまう」はもうクライマックスが近いので完結できると思います。
ですがこちらも、想定より読んでいただけて本当に感謝してるので完結させたい気持ちはあります。終わり方も構想してます。
「リアクション不要です」と前書きにクッション置くなども考えてます。