144 対抗派の話し合い
その日、ソロモンさんから連絡があって、現対抗派メンバー全員で念話を使って話し合うことになった。
(脳内で会話できるだけでもすごいけど、数人で脳内会話ができるなんて…すごすぎる……!)
私は驚きを隠せなかった。
みんなが集まりやすい夜の時間帯に話し合いをすることになったんだけど。
何か元の世界の、LINEのグループ通話みたいだなって懐かしいかも。まあこっちは念話でテレパシーみたいなものだから違うんだけどね。
(みんな…どうしてるかな…)
元の世界の家族や友達のことを考えると、やっぱり会いたいし寂しい気持ちになる。
私はどうしたらいいんだろう。
『君にこの世界に残ってほしいと思ってる。この世界で生きることを考えてほしいんだ』
前にソロモンさんにそう言われたことを思い出してなぜか顔が熱くなるのを感じた。
私は今のままでいいのかな……? 私は一体どうすればいいんだろう? 答えが出ないまま時間だけが過ぎていくのだった・・・。
***
《さて、今日は集まってくれてありがとう》
その夜、それぞれ自宅にいながら念話で繋がった私達。
最初に挨拶したのはソロモンさんだ。相変わらず礼儀正しいというかなんというか、紳士的な振る舞いをする人だな。
《おう!お前ら久しぶり!元気そうで安心したぜ!》
カインさんも明るく挨拶を返す。この人はいつでも明るい雰囲気なのでこういう場には向いているかも。
《カイン殿も元気そうで何よりだ。貴方方のことはずっと気になっていたからな》
続いてダビデがそうカインさんに返事をすると
《心配かけて悪かったな》と申し訳なさそうに言うカインさん。
《いや、こうしてまた話せるようになれたことを嬉しく思う。水臭いことを言わないでくれ》
ダビデは優しい口調でそう言う。さすが仲間同士というだけあって一気に和解できたみたい。
《さて、せっかくユダ殿が力を使ってくれているのだからそろそろ話し合いを始めようか》
とソロモンさんが提案すると、私達は頷くのだった。
こうして私達対抗派の話し合いが始まったのである。