143 ダビデへの恋心
ユダとカインが、女神派の仲間達を対抗派に転じさせようと奮闘していた頃ーー
対抗派の1人ソロモンは、ソロモンの指輪を使って研究に没頭して夜更かしをしていた。
(よし、ユダ殿の異能である『念話』が複数人で使えるように改良できたぞ!これで仲間同士で話し合いもできそうだな)
ユダの異能である念話はこれまではユダと任意の相手の1対1でしか使えず、情報の共有や複数人での相談ができないので効率が悪いため改良を試みるソロモンだったが、なかなか上手くいかなかったのだ。
しかし、ようやく完成したようだ。
(ユダ殿が介してくれれば仲間同士で話し合いもできる。それも離れた場所から。これで僕達もカイン殿と話すことができそうだな)
現代で例えるとLINEのグループ通話のようなイメージだろうか。やはり複数人で話し合いができるのとできないのでは大きな違いがある。ソロモンは満足気に頷いていた。
(一度みんなで話し合ってみるのもいいな・・・)
アップデートされた念話を早く試してみたい気持ちもあり、ソロモンはすぐ行動に移すのだった。
***
主人公ヤマト視点に移る。
(ユダさんから念話で聞いた話だと、対抗手段が見つかったんだ!まさか本当に、あの女神に頼らなくてもこの世界に転生させる手段があったなんて…)
私は興奮気味にそんなことを考えていた。
それにユダさんとカインさんが対抗派になってくれて、さらに転生させることが可能になったらしいから、間違いなく私達に追い風が吹いているだろう。
(ダビデもそのおかげか最近嬉しそうだし……彼、けっこう感情がわかりやすいからなあ)
私の前では、保護者だからか常に冷静な態度を取ろうとするみたいだけど、私にはバレバレなんだよね〜(笑)
ソロモンさんから聞いた話だと、ダビデは生前は人前でも泣いたり怒ったりかなり素直な性格だったらしいけど、この世界で転生してからはそういう感情表現を抑えてるっぽいんだよね……
だけど、情に厚くて仲間や誰かのために一生懸命になれる、そんな人だってことはこれまで過ごしてきてよくわかってるつもりだよ。
そんなことを考えていると顔が赤くなってきて思わず頰を手で押さえてしまう私だったーーー
(私……やっぱり……彼のことが……)
今はそれどころじゃないってわかってても、もう自分の彼への気持ちが誤魔化せないことを自覚するしかなかった。
(本当は心も女だってこと……ダビデに打ち明けるしかないよね。みんながまた戻ってきたら、正直に言おう……)
今はそれどころじゃないことくらいわかってるから・・・この件が解決したらずっと隠してきた秘密を彼に打ち明けようーー
私は1人そう決意を固めるのだった。