141 君とならわかり合える
《迎えってどういうことだ?》
《そのままの意味さ》
ユダは相変わらず言葉足らずだった。それでも奇妙な縁での付き合いで慣れてしまったのか、カインは話を促すことにする。
《わざわざお前の異能を使って念話するってことは、聞かれるとマズイ話なんだろ?何かあったのか?》
《カイン。君は大雑把で後先も考えないし、無鉄砲だし、軽薄な性格だけど……でも根はいい奴だということは知ってる》
《褒めてるのか貶してるのかどっちだよ!》
カインは思わずツッコミを入れてしまうが、そんな彼を無視して続けるユダ。
《なぜだかわからないが…いや、君は僕と似てるところがあるからかな。君は本当は苦しんでるんだとわかってしまうんだ》
《!!い、いや、俺は別に…》
《君と僕は…自分をまだ許せていない。生前、本当は大事な人間を死に追いやってしまった。そんな罪を僕たちは抱えてる…そうだろ?》
《っ!?》
ユダの言葉に動揺するカイン。図星だったのだ。彼の言う通り、2人は未だに過去の罪に囚われていた。だからこそ正反対のタイプでありながらお互いを理解し合える部分があったのかもしれない。
《実は僕は、ダビデ達対抗派につくことにした》
《何だと!?》
《もう生き返らせたい人間はいなくなったから……だが、あの女神に従わなくてもこの世界に任意の人間を呼び戻す方法があると言ったらどうする?》
《何・・・!?》
ユダは対抗派で共有した秘密をカインに打ち明けた。他の神や悪魔達の力を借りることで、特定の人間をこの世界に転生させることができるということをーーー
《まさか・・・そんなことができるのかよ・・・!!》
信じられないという声を挙げるカインに構わず言葉を続けるユダ。
《今はまだあの女神に従ったふりをしながらみんなを説得していこうと思う。僕のことを信じてくれないか・・・?》
そう告げるとーーーユダはどこからともなくカインの前に姿を現す。
そして2人は離れたところで互いに見つめ合う。言葉に出さずとも心は通じ合っていた。
《わかったよ。お前がそう言うなら俺も信じるぜ》
《ありがとう・・・君にそう言ってもらえて嬉しいよ》
2人の間には確かな友情が生まれつつあったーーー