13 運命の再会
翌日、検査に異常もなくダビデは無事退院することができた。
だが、彼は病院送りになったばかりというのにすぐに冒険を再開すると言いだしたのだった。
(まったくもう、懲りない人なんだから!)
呆れながらも、彼のことが放っておけなくてついつい面倒を見てしまう自分がいるのだった。
「それに…なんだか胸騒ぎがするんだ」
「胸騒ぎ?」
「ああ。私は昔から直感が鋭い方でね。急がなくてはならない気がする。急ごう!」
「え!ちょ、ちょっと待ってよ!!」
そして私達は足早に町を出たのだった。
ソロモンは人気のない場所からある者達の様子を監視していた。
「あれはマルファスとムルムルか。あ、ヴアルもいる♡それにバルバトスか?」
ソロモン72柱から4柱の悪魔が異世界に来ているようだ。
一見すると街の人間のようにも見える(マルファスを除いて)
だがどの悪魔も、強い悪魔らしく只者ではないオーラを放っていた。
何も知らない彼らは、話しながら連れ立って歩いていた。
ソロモンは興味津々といった様子で彼らを見ていた。
「和気藹々としてんなぁ、悪魔なのに。なんか微笑ましいなぁ〜」
自分が死んでいなくなり、彼らも自由に生きられるようになったのだろう。
「ふふ… 楽しそうにしてるところ悪いが、実験させてもらうよ。この指輪の力を確かめるためにもな♪」
ソロモンはそう言って不敵な笑みを浮かべると、指輪の力を解放しようと、そっとグローブを外す。
「でも大丈夫だよ♪君達のことは悪いようにはしない。僕は有能な者が好きだからね♡」
そう言ってソロモンは彼らを服従させるため、呪文を唱えようとしたーーー!!
「ソロモン」
背後から突然自分の名前を呼ばれ、ビクッとして振り返るソロモン。
(誰だーー!?なぜ僕の名を……!?)
この異世界では念のため別の名前を名乗っていたため、自分の正体を知る者はいないはずだったのだが……。
恐る恐る振り返ると、そこには見覚えのある顔があった。
「え…!?貴方はーーー父上!?」
そこにいたのは紛れもなく自分の父親であるダビデだった。
若い姿にはなっているがソロモンには一目でわかったのだ。
ついに、互いに異世界に転生したことを知ったダビデとソロモンーー
今大きく運命の歯車が動き出す……!!