122 ソロモン72柱天使版!?
聖書転生者達は、異世界の元女神セナムーンに支配される運命に抗う方法を模索しながら、それぞれおとなしく従ったふりをして日常を過ごしていた。
その一人であるソロモンはというとーーー
彼は自分の屋敷の仕事部屋で、思案を巡らせていた。
(フッ……まさか僕が、支配される立場に立たされるなんてね……これが業という奴かな。今では悪魔達と和解したものの、報いを受けたとは皮肉なものだな……さてどうしたものか……?)
あの女神が皮肉を言った通り、自分だって生前にソロモンの指輪で悪魔達を支配し、さらに警戒して彼らを封印した。
元の世界では「仏教」という有名な宗教があり、その中には『因果応報』という概念があるらしいことを今のソロモンは知識として知っていた。
まさに因果応報が自分に返ってきたわけだと自嘲気味に笑った。
だがそれは不敵な笑みへと変わっていく。
(フッ…面白い。このままあの女の思い通りにさせてなるものか。僕だってただ黙って従うつもりはないさ。何か打開策を見つけなければな)
ソロモンは腕を組んで考える。
もちろん自分も、持ち前の頭脳やソロモンの指輪の力を駆使して打開策を練るつもりだが、1人の力だけでは限界があるだろうと考えたのだ。
(我々聖書転生者達とヤマトちゃん。みんなが団結することが必要不可欠だ・・・)
そんなことを思っている時だった。
コンコンッ
窓を叩く音が聞こえる。
(誰だ?悪魔か?)
外を見るとそこには背中に羽が生え胸元に薔薇を飾った1人の男がいた。
その顔は見覚えがあるーーソロモンは思わず声を上げた。
「貴方は……!」
慌てて窓を開けてその男を迎え入れる。
「72守護天使のハハイヤさまではないですか!」
ソロモンは跪いて挨拶をした。
ハハイヤと呼ばれた男は鷹揚な態度で言う。
「お久しぶりだね、ソロモン王。そんなに畏まらないでくれ給えよ」
ハハイヤはハハハと笑い気障な笑顔を向けた。
この男は天使の1人であり、ラファエルやサリエルのような大天使ではなく、彼ら大天使より階級は下ではある。
だが、天使は神の使いなのでソロモンは敬意を払った態度を崩さなかった。
この天使ハハイヤは、ソロモン72柱の天使版ともいえる『72守護天使』の12番に属する天使だった。
ソロモンの指輪は悪魔を支配する力を持っていたが、天使に力を借りることも出来たので、その天使達は72守護天使とも呼ばれていた。
もちろん神の使いである天使達なので、悪魔のように支配はせずあくまで協力的な関係だった。
「ハハイヤさま、なぜ私の元へ?」
そう尋ねるソロモンに対して、ハハハと笑った後彼はこう言った。
「本来、天使は人間に自ら干渉してはならない決まりだ。だが、君に頼みがあって来たんだよ」
「頼み、ですか?」
「ああ。君も知っている、ヤマトという少女のことだ」
「!!」