113 自称女神現る
突然のことに私達は驚きのあまり硬直していた。
そんな私たちを尻目に自称神だという女は余裕たっぷりといった様子で笑っている。
「こいつが…この世界の神…!?」
カインさんが目を見開いて驚いてるけど無理もないよね……
だって見た目は完全に人間にしか見えないんだもん……
それにしてもこの人が聖書転生者そして私をこの世界に呼んだ元凶……?
一体何の目的があってこんなことをしているんだろう?
「うふふ……驚いたかしら?」
そう言って笑う彼女の姿はどこか不気味で恐ろしく感じられた。
「なぜここに現れた?貴様の目的はなんだ……?」
ダビデが問いかけるが、女は不敵な笑みを浮かべるだけだった。
「さあ?どうしてでしょうね??」
はぐらかすような答え方にダビデは苛立ったのか声を荒げる。
「ふざけるなっ!!貴様が我々をこの世界に復活させたのか?何が目的だ!」
怒鳴られても動じることなく、むしろ楽しそうに嗤う女に背筋が寒くなった気がした。
(この女は危険だ……)
本能でそう感じ取った私は思わず身構えてしまう。
「こうして皆お集まりのようだし、そろそろ話しても良さそうね…真相を」
意味深なことを言いながら、ゆっくりとこちらに近づいてくる自称女神に対してみんなの警戒心が高まるのを感じた。
「貴様は……本当にこの世界の神なのか?この世界の神は絶対神ミュトスだけだとヘラクレス殿に聞いているぞ」
ダビデの問いかけに自称女神は薄く微笑んだまま答えない。代わりにこう答えた。
「その話は後でするわ。私の名前はセナムーン。私が貴方達をこの世界に復活させたわ。私の申し子として」
騒然とする聖書転生者達。当然だ、いきなりこんな話を聞かされて驚かないはずがないのだから。
そんな中、私はあることに気づいて戦慄した。
(待って……さっきこの人は何て言ったの……?)
聞き間違いでなければ、彼女はこう言ったはずだーー
『私の申し子として』とーー
一体どういうことだろう?
そんな私の動揺をよそに、自称女神は滔々と語り出した。
なぜ彼女が聖書転生者達を、この異世界に転生させたのかをーーー