100 お忍びデート(?)
「よしっ。それじゃあ僕とヤマトちゃんのデートを始めよう♡」
そう言って私と手を繋ぎ歩き出すソロモンさんーーー
「ちょ、ちょっと!今日はイサクのお見舞いですよね?」
「そうだよ?でも遊びにも行かなきゃ♪」
あ、遊ぶ?それってどういうことだろう……?
戸惑う私に優しく微笑んでくれるソロモンさんの顔は本当にかっこよくてドキドキしてしまうーーー
(かっこいい……じゃなくてっ!!!)
そんな私を横目でチラッと見ながら手を握って歩く彼の頬が少しだけ染まっている気がしたけど気のせいだよね??
「それと…ああいうの困ります」
「ああいうのって?」
「ソロモン72柱の悪魔達に言ってましたよね、私が『未来の妻』だって……」
恥ずかし過ぎて最後は消え入りそうに小さな声になってしまったーーー
それでもちゃんと私の言いたいことを察したのか彼が口を開く。
「……ふふっ。ヤマトちゃんたら照れちゃって可愛いなあ♡もちろん本気だよ」
なっ!?ほ、本気ですってぇえええ!!!???
(ダメ…本気にしちゃ…)
私はそう自分に言い聞かせて努めて冷静に返す。
「ソロモンさんが言うとどこまで本気なのかわからなくて困ってるんです!」
あれれ?おかしいなあと言う彼に思わず心の中でツッコミを入れる私だった。
「悪魔達と和解できたようで良かったですね」
私は話題を変えることにした。
「うん。僕は生前、悪魔は苦手だったんだ。僕達の信仰では悪魔は人間を不幸にさせる存在だったから。だけど今は僕の大切な仲間さ。僕が変わったのは…君のおかげだと思う」
「え?」
「君と出会えて、君が僕を変えてくれたんだよ。ありがとう、ヤマトちゃん」
真剣な瞳で見つめてくるソロモンさん。だけど私はーーー
「そんな私なんて…」
ごめんなさい。私はまた足を引っ張りそうになって。
私は貴方にそんな風に言われるような人間じゃないんです。
元の世界にいた時から自己否定が強い私は、彼の言葉を素直に受け止めることができずにいたのだったーーー