Another #1
Another第1話
〘Side:高峰美咲〙
私は高峰美咲、現役中学三年生である。
家族は兄だけで、兄と2人暮しをしている。
今日も今日とて平和な日を過ごしていた。
普通の一日が終わり、布団に入る。
………
……
…
ふと、目を覚まし時計を見る。
今は、5月6日の午前2時。
まだ深夜と呼ばれる時間帯だ。
ぼーっとしていると、下の階から物音が聞こえる。
お兄ちゃん、こんな時間にどうしたのかな。
眠い体を起こし、部屋のドアを開け下の階に降りる。
リビングの電気は消えていたが、玄関の方から明かりが見える。
玄関に行くと、お兄ちゃんの靴が無くなっていた。
どこに行ったんだろ。
リビングは電気を消してたのに玄関が着いてたってことは、行ったのは近く。
ここら辺でお兄ちゃんが夜に行けるところはコンビニくらいだからコンビニに行ったのかな。
それか気まぐれに散歩でもしに行ったのかな。
その2つを組み合わせて、気まぐれに散歩ついでにコンビニに行ったとか?
…まぁいっか
事故に巻き込まれたりしてもお兄ちゃんなら大丈夫だろうし
悪運だけはつよいもんね。
小腹が減ったなと思い、エナジーバーをキッチンの保存食置き場から取り出す。
深夜の食事はあまり良くないのは分かっているが、シンプルな美味しさに咀嚼が止まらない。
3分ほどゆっくり味わいながら食べる。
程なくして食べ終わり。
欠伸をしながら部屋へと戻っていく。
階段を上り、部屋の前に立ち、ドアノブに手をかけようとしたその瞬間。
世界が揺れた。
思わず床に崩れ落ちる。
何っ!?地震?
でもそれにしては初期微動が感じられなかった。
しかも結構長い。
何かがおかしい。
《ワールドアナウンス:[惑星名:地球]のLvが最大値に達しましたこれより進化を開始します》
《ワールドアナウンス:完了しました》
《ワールドアナウンス:全生物にステータスを付与……完了しました》
《ワールドアナウンス:ステータスボードにランキングシステムを追加……完了しました》
ん?
んんん?????????
え?なに?バグった?
てか揺れがさっきより大きくなったんだけど?!?!!!??
あの大きさの揺れで初期微動だった…訳じゃないよね。
なんか女の人の機械音声みたいなのが聞こえたし。
幻聴が聞こえたのかな。
ステータスってなに?
お兄ちゃんがよく読んでた本に乗ってた気がするけど…。
1回だけ読んだ時にもっとちゃんと読んどけば良かったな。
揺れがだんだん収まってくる。
ようやく立てるほどの揺れになり、部屋のドアを開ける。
良かった、ドアが変形して開かないってことは無いみたい……。
部屋に入り、そして直ぐ机に向かう。
机の上のPCを開き、ネットサーフィンを始める。
WiFiはちゃんと使えるのね。
どう検索ワードを入力するか迷っていると、緊急速報がページのトップに出てくる。
迷わずそれをクリックする。
すると、ページを開いてすぐに動画が流れ始めた。
『緊急速報です』
『ただいま、全世界で大きな揺れが確認されました』
『また、世界各地で塔の様な物が見つかりました』
『危険度についてはまだ未知であるので接近を控えてくださいとのことです』
『自衛隊が急遽、探索を開始する予定です』
『繰り返します……』
塔?
窓に駆け寄りカーテンを開ける。
するとそこから異様な風景が目に入った。
なに……あれ。
まさに塔としか言い様がない大きな物が見える。
あんなの昨日までは、いや、さっきまで無かったのに…。
あまりの異変に衝撃を受け呆然とする。
そういえばお兄ちゃんは大丈夫かな。
外で地震で倒れて頭打ったりして無ければいいけど…。
更なる情報を求め、ニュースを見続ける。
探索を開始した自衛隊によると、塔or洞窟(?)は見た目以上の広さがあり、自由に出入りができるらしい。
それにしても洞窟ってどんな感じなんだろ。
塔は外見が綺麗な黒色に線が入ったみたいな感じだったけど。
それにしても、お兄ちゃん帰ってくるの遅いな。
地震から結構時間たったのに。
まさかほんとに頭ぶつけて気絶してたりしないよね…?
心配だから見に行こっかな。
そう思い、ちゃちゃっと着替えを済ませ、靴を履き外に出る。
コンビニは遠いとも近いとも言えない微妙な距離にある。
だが、幸いコンビニへのルートはある程度限定されている。
歩いていると、あることに気がつく。
あれ?
これって塔の方に向かってない?
お兄ちゃんほんと大丈夫かな……。
呼吸が少し早くなり、それにつれて歩くのも早くなる。
そして塔の下に辿り着いた。
そしてある物を見つけた。
見つけてしまった。
あの、塔の傍に落ちてる帽子ってお兄ちゃんのじゃない?
帽子に駆け寄り、帽子の裏を確認すると、
お兄ちゃんのイニシャルが見える。
なんでこの帽子が落ちてるの?
大切にしてたはずなのに。
地震で落としてたらちゃんと拾う筈だし。
お兄ちゃん。
どこに行ったの?
いつの間にかポツポツと降り始めた雨が、私の頬に当たっていた。
彼女はちゃんとシリアスします。