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物理特化の巫女の話  作者: 四季
2/3

聖力と魔力の話

朝、日が登る少し前。

「ーーーーーーーー」

小鳥・・・ではなく、何か低いうめき声な低い声で、少女、優は目を覚ました。

「・・・・・・・っ!?」

何の声、あるいは音かもわからず、優は頭まで布団を被せた。直後

「あああああああああああああああああああああ!!??」

低い唸り声が甲高い絶叫に変わった。

「うう・・・・・・」

最悪の目覚めに優はどうしたものかと考える

「陽さんには言っといた方がいいよね。」

そういって起き上がり、部屋から出て長い廊下を歩き、社務所から出た。

「・・・・・えっ?」

神社に目を向けた直後、それはあった。

腰まであるストレートの長い髪、頭の横についている模様の入ったリボン。白い巫女服のようなものに黒の帯。

左手には黒い短剣を持っている。

そして、短剣を持った少女の前には

肉塊があった。

「うあ、ああ・・・」

恐怖と、混乱と、悲しみと・・・・。

いろんな感情が混ざり合って、優は嗚咽を漏らす。

そして、喜怒哀楽がわかる優は少女の感情を見て、さらに困惑した。

少女は怒っていた。とてつもなく憎悪に満ち溢れていた。

「あの・・・・」

意を決して少女に話しかけると、少女はゆっくりと振り返って、

「おはよう。よく眠れた?」

優しく、柔らかな笑みを見せる少女は、小さい口に、鋭い瞳紛れもなく昨日会ったばかりの少女だった

「陽・・さん?」

優が少女の名を呼ぶと、陽は呼応するように頷いた。

「それ・・は・・?」

優が問うと陽はああ、と言って

「妖怪だよ。優の聖力を嗅ぎ取ったみたい。」

「聖力?」

聞き慣れない単語に、優がオウム返しする。

「そういえば言っていなかったね。よおし、私が説明してあげよう」

「お願いします」

嬉しそうに胸をはる陽に、優は素直に頷いた。

「まず、聖力っていうのは、主に人間と渡り子が持ってるんだ。でも、聖力は穢れのない人しか持ってないんだ。巫女になる為にも聖力が必要で、聖力を持っている人を聖力者って言うんだけど、聖力者は誰が聖力、魔力を持っているのかわかる。さらに、聖力者は魔力を祓える。だから巫女になれるんだ。」

「ふむふむ」

陽なりの丁寧な説明に、優は相槌を打つ。

「それで、魔力っていうのは、主に妖怪が持っているんだ。妖怪は魔力の具現化だから、私たち聖力者が祓うと消滅する。ただ、妖怪は身体能力が高くて、いろんな能力を使ってくるから危険。そこで」

言い終えると同時に陽は短剣を出して

「私たち聖力者は魔法が使えるんだ。」

そう言って、ニヤリと笑う。

「陽さんはどんな魔法が使えるんですか?」

「人によって違うけど・・・・。私は風魔法が得意かなあ。後は受けたダメージを一時的に全回復して、身体能力を10倍にする代わりに、受けたダメージが2倍になって帰ってくるのもあるよ」

「使えねー」

陽の捨て身魔法に優は苦笑する。

「話を戻すよ。妖怪は聖力者のニオイに反応するから、気をつけてね!」

「はーい」

話し終えると同時に、人がこちらに向かってくるのが見えた。

「どうしたんですか?」

陽が聞くと、40歳くらいのおばさんが

「最近、子供たちが帰ってこなくて、探しに行った大人たちも帰ってこなくて、妖怪なんじゃないかと・・・」

「わかりました。場所はどこですか?」

「霊山です・・・」

「早速行きます。大丈夫。無事に連れて帰ってきます。」

心配そうなおばさんに、陽は力強く笑う。

「お願いします。村で待っておりますので・・・。」

「はい。安心して待っててください。」

去っていくおばさんを見送った後、陽は一息ついて

「依頼だ。行くよ。妖怪がどれだけ恐ろしいか見せてあげる。」

「わわ、待ってっ!」

歩き出した陽の後ろを、優は急いで追いかけた。




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