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いつの日か君の隣で  作者: 要
冷たい雨のその先に
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   幕間 〜 渡辺日菜乃

 太陽が西に傾き、茜色と言うには少し黄色い夏の夕日に姿を変える。

 部活を終えた私は、熱中症寸前まで体温が上昇した体を冷やすために、部室近くの水道の蛇口をひねり、勢いよく水を出した。

 顔を洗ってから、持っていたハンドタオルを濡らして首元を冷やしたが、それほど効果は感じられない。

「誰も見てないし、いいか。」

 そう呟いた私は、蛇口の下に頭を突っ込み、頭の上から水をかぶった。

 大和が退院してから今日で3日。

 私があまり大和と接していないから満足しているのか、退院後に目立った嫌がらせは受けていない。

 このまま卒業まで距離を取り続ければ、きっと平穏な高校生活を送ることができるだろう。

「日菜乃。」

 大和が私を呼ぶ声が聞こえた。

 ううん、きっと気のせいね。

 部活を休んでいる大和が、こんな時間まで学校に残っている訳がないもの。

「大和君、こんなところで何してるの?」

「そうだよ。早く帰って病院に行かなきゃダメでしょ?」

「大変だろうから、私達が病院まで付き添ってあげるよ。」

 親衛隊の不愉快な声が聞こえたため、私は勢いよく顔を上げ、グランドの方へと顔を向けた。

「いや、今日はちょっと用事があって。」

 髪を伝った水がボタボタと垂れ、ユニフォームを濡らす。

 大和と目が合った。

 たったそれだけのことで、私の胸は狂おしいほど絞めつけられる。

「用事って何?」

「手伝ってあげようか?」

「カバン持ってあげるから、早く行こ。」

 最後まで大和は何か言いたそうであったが、親衛隊の強引さに負けて、とうとう姿が見えなくなってしまった。

「・・・無理だよ。」

 ひとりになった私の口から言葉が漏れた。

 このまま距離を取り続けるなんて無理。

 だって・・・彼のことがこんなにも好きなのだから。


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