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いつの日か君の隣で  作者: 要
雨空のあとには
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   幕間 〜 一ノ瀬瑞希

 “しとしと”と降る雨の音が好き。

 梅雨はジメジメして嫌いだという人が多いけれど、私は静かに降る雨は何気に嫌いじゃない。

 雨の日に窓の外を眺めていて「いつの間にか時間が経ってしまった」なんてことも日常茶飯事だ。

 晃君から借りたジャージに顔を埋めて深呼吸をしてみた。

 柔軟剤の香りに紛れて、少しだけ晃君の匂いがするような気がした。

 ・・・って、私は変態か?!

 自分にツッコミを入れる私。

「ちゃんと洗ってあるから大丈夫だよ。」

 やばい、見られてたみたい。

 肝心なところは気づかないくせに、変なところばっかり見てるんだから。

「あ、ゴメン。臭いとか気にしてたわけじゃないんだ。」

 ゴメンナサイ。ある意味、臭いを気にしてました。

 雨が葉っぱに当たる音が、さっきよりも大きくなってきたように思える。

「雨、やむかなぁ。」

 晃君と一緒にいられるんだから、もうちょっと降っていてくれても全然良いけどね。

「こんなんで風邪ひいちゃったら、馬鹿みたいだよな。」

 晃君がどんよりと曇った空を見上げて呟いた。

「ちょっと〜、無駄にフラグ立てないでよ〜。」

 風邪をひいた私を優しく看病してくれる晃君。

 手に持っているのは晃君特性のお粥。

 きっと、できたてのお粥を“ふぅふぅ”してくれて、優しく私に食べさせてくれるんだ。

 それはそれで、全然アリ!

 むしろ風邪菌ウェルカムだわ。

「ふふっ。」

 ヤバい。ニヤニヤが止まらない。

 このままじゃ変な子に思われちゃう。

 意図せず上がる口角を元に戻そうと、頑張って手で押し下げてみるが、どうやら私の表情筋は腕力よりも強固であるらしい。

「暇だから散歩でもしてこよ。」

 顔を覗き込まれたらお仕舞いだと判断した私は、晃君の横から逃走するとこを選択した。

 稲荷神社の境内はそれほど大きくなく、周りをゆっくり歩いても一周するのに2〜3分しかかからないだろう。

 境内は子供の遊び場として人気の場所なのか、境内のあちらこちらに石で彫ったと思われる文字が書かれていた。

「あらら。落書きだらけじゃない。罰があたるぞ。」

 書かれているのは内容は、名前だったり、アニメのタイトルだったり、いかにも小学生の男子が好きそうなあの単語だったりと千差万別であるが、いずれもお世辞にも綺麗な文字とは言い難い元気いっぱいな文字で書かれていた。

「あ〜あ〜、こんな所まで・・・。」

 落書きは壁だけに留まらず、境内に上がるための小さな階段の裏側にまで書かれていた。

「こんな所に書いたって、誰にも読んでもらえないのに。」

 でも、何が書いてあるんだろう。

 好奇心に負けた私は、身をかがませて階段の裏へと体を押し込んだ。

「へ〜、懐かしい。相合い傘だ。」

 階段の裏には丁寧に相合い傘が書かれていた。

「この字は、きっと女の子ね。」

 そういえば私も小学生の頃、消しゴムの裏とかに好きな男の子との相合い傘を書いていたっけ。

 私の学校には、誰にも見られずに消しゴムを使い切れば、願いが叶うってジンクスがあったんだよね。

「ごめ〜ん、私に見つかっちゃったね。」

 一応作成者に謝っておこう。

 ゴメンと言いながら、しっかり名前まで見ちゃうんだけどね。

 私は相合い傘にスマホのバックライトを当てて、顔を近づけた。

「え〜と、書いてある名前は、ゆあ・・・アキラくん。」

 え?え?

 何?

 これって優愛ちゃんと晃君?

 いやいやいやいや、無い無い無い無い!

 そんな偶然無いって!

 でも・・・これが本当に優愛ちゃんと晃君なのだとしたら、かつての優愛ちゃんは晃君の事を・・・。

 私の想像はどんどん悪い方へと移行する。

 まさか、今も?

 私は私の考えを頭を振って否定した。

 そんな訳はない、優愛ちゃんと晃君はただの幼馴染のはずだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] え、マジか。現在は全然そんな素振りなかったから、かなり意外。先が気になる
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