幕間 〜 佐々木優愛
日当たりの良い窓際は、お日様の匂いがする。
ポカポカと優しい日差しが降り注ぐこの季節は、丘の上に建っているこの家の窓際が私のお気に入りの場所だ。
「ゆうちゃ〜ん、どこ〜?」
私の名前は優愛。『ゆう』じゃない。
何回言っても、あっくんのお母さんは私を『ゆうちゃん』と呼ぶ。
今日こそは返事してあげないんだから。
私は窓際で寝たフリをすることにした。
「ゆうちゃん?あ、ここに居たんだ。」
ふん。優愛って呼ぶまで、起きてあげないんだから。
「寝ちゃったのかな?」
ホントは寝てませんよ〜。
「ホントに寝てるのかな〜?」
私は寝たフリがばれない様に、ギュッと目を瞑った。
あっくんのお母さんが、私の顔を覗き込んでいることが分かる。
起きてない、起きてない、私は起きてない。
プニッ。
な、何?
私が必死に寝たフリををしていたら、ほっぺたに指先の感触が・・・。
「やだ〜、女の子のほっぺってプニプニ〜。」
プニッ、プニッ。
ちょっと、やめてよ・・・くすぐったいよ。
ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに・・・。
「きゃー。ずっとプニプニしてたい。」
そんな事してもだめ!『優愛』って呼ぶまで、何されても起きないって決めたのっ!
私は頑なに目を閉じる。
「ゆうちゃん起きないか〜。」
『優愛』って読んだら起きるよ。
「しょうがないな。」
あっくんのお母さんが、立ち上がる気配がした。
この勝負、私の勝ちね。
「ゆうちゃんの好きなアップルパイは晃とふたりで食べちゃおうっと。」
「だ、だめー!優愛も食べる!」