幕間 〜 一ノ瀬正樹
春の暖かい陽気の中で飲むビールは格別だ。
今日は娘である瑞希の同級生の同伴として、バーベキュー場に来ているわけだが、思ったよりみんながしっかりしていたので安心してしまい、ついウトウトとしてしまった。
「じゃあさ、今日のメンツの中では誰が好みなんですか?」
突っ伏した腕の隙間から、テーブルの向かいに座っている男女を盗み見た。
盗み見るなんて我ながら不誠実だとは思うが、目が覚めたらこのような事態になっており、起き上がるわけにもいかず、不本意ながらこのような状況に陥っているのだ。
男の子は晃君。速水さんちの一人息子だ。
女の子は・・・確か戸田さん、妹さんの方だから咲希ちゃんか。
「容姿端麗、成績優秀なお姉ちゃん。健康的な美しさと、裏表の無い性格の優愛先輩。明るくて、優しそうな美少女の瑞希先輩。」
うんうん、よく見てるね咲希ちゃん。
ただし、うちの瑞希が一番だということは譲れないぞ。
「やっぱり、本命はお姉ちゃんですか?」
お姉ちゃんということは、落ち着いた雰囲気の黒髪の先輩の事だな。
なかなかいい趣味を持っているじゃないか、晃君。
これは速水さんと飲むときの良い酒の肴ができた。
「それとも・・・私?」
何だと?!
ひとの恋路に首を突っ込む気はないが、姉妹と三角関係などというルートにハッピーエンドが待っているとは思えないぞ。
それはそうと、晃君、モテモテじゃないか!
こんな美少女に言い寄られるなんて、なんとも羨ましい。
私が学生の時なんて、目も当てられない有り様だったというのに。
「ぼ、僕もバドミントンをやろうかな。」
晃君、ここで逃げだしちゃうんだ。
面白い話が聞けたから、もう少し寝たフリをしていよう。
あくまで保護者として、ね。




