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いつの日か君の隣で  作者: 要
ドキドキBBQ
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   幕間 〜 渡辺日菜乃

 青空がどこまでも続き、空気は透き通っている。

 今日は風も弱く、レジャーには丁度いい陽気だ。

 峠のバーベキュー場に行った晃君たちは、きっと今頃楽しんでいる頃ね。

 私は自然と峠方面に視線を移した。

 残念ながら私と大和は部活があって参加できなかったけど、もし参加できたらきっと楽しかっただろうなと思う。

 相変わらず晃君と勇斗君がふざけて、優愛ちゃんの機嫌を悪くしてるのかな?

 みんなの様子を想像するだけで、自然と顔が綻んだ。

「日菜乃、サボるな〜。」

 グラウンドの周りを走っているサッカー部の集団の先頭から大和の声がした。

 大和は足の速い人が揃っているサッカー部の中でもずば抜けて足が速く、短距離走の選手として陸上の試合に出てもインターハイを狙えるほど。

 一度、陸上部に誘ったことがあるけど「みんなと協力して勝ち取る勝利が好き」と言っていた。

 全くもって大和らしい答えだと思う。

 大和の周りに先輩たちが走り寄り、大和の頭をくしゃくしゃに撫でながら、何やら談笑を始めた。

 私に声をかけたことで、大和が先輩たちにからかわれているのかもしれない。

 さてと、私も練習しなくちゃ!

 気持ちを切り替えて、私は前を向いた。

 エバーマットの前に設置されたバーの高さは、150センチメートル。

 最近の私の記録は、この高さで停滞状態だ。

 この記録は県大会ではそこそこ上位の順位に食い込めるが、インターハイで戦えるほどの高さではない。

 集中!

 集中!

 周りの声が聞こえなくなるほど集中しなければ、この高さは跳ぶことができない。

 頭の中でリズムを取る。

 最初はゆっくり、そして徐々に早く。

「ねぇ、勘違い女が跳ぶよ。」

 え?・・・何?

 風で流れてきた声とかじゃない。

 明らかに私に向けられた言葉。

「大和君も可哀想よね。あんな女に付きまとわれて。」

 誰?

 もう目の前にバーが迫っている。声の主を確認している暇はない。

 私は中途半端な体勢で跳んでしまい、バーと一緒に背中からエバーマットに突っ込んだ。

「痛っ。」

 笑い声とともに走り去る人影が3つ。

 知らない顔。

 ・・・いや、あの三人組は見たことがある。

 『大和親衛隊』とか言って、いつもサッカーコートの横で大和に声援を送ってる人たちだ。

 何であの人たちが私に?

 私は訳も分からず、背筋が凍りつくような感覚を覚えた。


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