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いつの日か君の隣で  作者: 要
彼女は台風の目
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   幕間 〜 戸田美桜

 潮騒の音がやけに耳につく。

 ビュウビュウと吹き荒れる海風が、容赦なく私の体温を奪っていく。

 咲希を叩いた右手がやけに痛んだ。

「だめだなぁ、私は。」

 速水君が咲希を追い、展望台で私一人になった途端に、後悔の気持ちが頭を擡げてきた。

 ちゃんとしなくちゃと思えば思うほど、咲希との距離が離れていく。

 家庭で孤立していく咲希をどうにかしよう頑張ってみたものの、もうどうしたら良いか分からなくなってしまっていた。

「速水君は凄いな・・・。」

 私は咲希を追って展望台を駆け下りた後輩の男の子を思い、力なく呟いた。

 初めて速水君を見かけたのは、いつだったのだろうか。

 私は記憶を辿ってみたが、はっきりとは思い出せずにいた。彼はそれほどまでに印象の薄い後輩だったのだ。

 ふとした瞬間に目をやった弓道場横の自転車置き場。

 物珍しさからか、弓道部を見学していく生徒というのは決して少なくはなかったので、速水君がそこにいる事に何の違和感も覚えなかった。

 でも何ヶ月も毎日のように見学に来ていれば、嫌でも顔ぐらいは覚えてしまうものだ。

 ほんの数分間たもけ見学していく後輩。

 ただそれだけの関係だというのに、いつしか私は真っ直ぐな目でこちらを見ている速水くんが来ることを楽しみにしていた。

 何をするでもなく自転車のサドルに座り、ひとりで弓道部を見学してから帰る速水君。

 女の子の影が見えない後輩だと思っていたのに、少し前にとびきりの美人を連れていたのには驚かせれた。

 そしたら今度は咲希と仲良くなっていた。

 あの気難しい咲希が懐くなんて、どんな魔法を使ったのかと、私は不思議に思っていた。

 そしたら、何てことはない。

 真っ直ぐに、先入観のない目であの子を見ていただけだったのだ。

 速水君と同じ事が、私にできるのだろうか。

 できるできないじゃない。

 やらなくちゃいけない。

 だって、私はお姉ちゃんなのだから。


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