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いつの日か君の隣で  作者: 要
彼女は台風の目
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   幕間 〜 木村大和

「大和、走れー!」

 夕暮れ時、キャプテンの声が校庭に響き渡る。

 うるせぇ、走ってるよ!

 心の中で毒づいてみるが、そんな事は面と向かって言えるはずもない。

 右サイドバック。

 それが俺が1年生のときに、先輩から奪い取ったポジションだ。

 通常は味方陣地深くに位置をとり、チャンスが来たら一気に駆け上がるスピードと体力が必須なポジションだ。

「だから、上がんのが遅ぇーんだよ!」

 言っておくが俺の足は決して遅くない。

 サッカー部の中では、3本の指に入るぐらいの速さだし、短距離だったら陸上部の奴らにだって負けやしない。

 先輩たちは、キャプテンのこのシゴキを「期待の現れ」と言うが、できることなら俺の身に降りかからないで欲しかった。

 ・・・おかげで、格段にサッカーが上手くなっという実感はあるけどな。

「大和、ドリブルで切り込んでシュートだ!」

 またまた、きっつい注文を出しますね。

 俺はペナルティエリア内に切り込み、フェイントでひとり躱すと、左足でシュートを打った。

「きゃーー!大和君かっこいい!」

 ゴールネット後方に陣取っていた女子3人が、俺に黄色い声援を送ってきた。

 片手を上げて声援に答えると、女子3人は顔を見合わせて騒ぎ立てた。

 はぁ、サッカーに集中させてくれないかなぁ。

 心の中でそう思っていても、笑顔で答えてしまう俺。

「大和!カッコつけてないで、ボール拾ってこい!ゴールに入ってねぇぞ!」

 はい、は〜い。すいませ〜ん。

 俺の放ったシュートはキーパーに弾かれて、体育倉庫の方に転がっていった。

「日菜乃、ゴメン。ボール取ってくれ。」

 俺は体育倉庫の近くで高跳びの練習をしていた日菜乃に声をかけた。

 高跳びの選手である日菜乃は、いつも体育倉庫前で練習をしている。

 陸上競技の中では比較的使用する道具が多い高跳びは、準備が大変だから倉庫の近くで練習するのだと日菜乃が言っていた。

 サイドポニーテールを揺らしながら、日菜乃がサッカーボールを蹴る。

「ナイスパス、日菜乃。ありがとう!」

「あんまりこっちに蹴らないでよね。」

「ボールを弾いたキーパーに言ってくれ。」

 俺は右手を上げて日菜乃にお礼を言いい、キーパーに向かってボールを蹴った。

 振り向くと日菜乃がちょうど背面跳びでバーを超えているところだった。

 さてと、俺も頑張るか。


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