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いつの日か君の隣で  作者: 要
交錯する想い
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   幕間 〜 渡辺日菜乃

 小さい顔。

 整った顔立ち。

 大きな目。

 長い睫毛。

 スラッとしたスタイル。

 ショートボブにカットした柔らかそうな髪。

 誰からも好かれる明るい性格。

「はぁ。」

 失礼だとは思いつつ、私は目の前に座ってサンドイッチを頬張っている瑞希ちゃんを見て、溜息をついた。

「どうしたの?日菜乃ちゃん。」

 不思議そうな顔をして、私の顔を覗き込んでくる瑞希ちゃん。

 理由なんて言えるわけ無い。

 私も瑞希ちゃんみたいだったら、もっと自分に自信が持てたのに・・・。

 東京から転校してきた彼女は、2日目にして既にクラスに馴染みつつある。

 たまたま隣に住む事になった晃君や、春休みに出会っている勇斗君の存在があるとしても、このコミュニケーション能力の高さは驚異的だ。

 少し人見知りな私には、とても真似ができるものではない。

「日菜乃ちゃんは、どうして陸上部に入ったの?」

 唐突な質問に、私は少しだけ戸惑った。

「走るのが人より早かった・・・から?」

「あははっ、何で疑問形なの?」

 瑞希ちゃんが口に手を当てて笑った。

 私が陸上を始めたのは中学生の時。高校の部活はそれの延長だ。

 随分前のことだから、あまり覚えてない。

「高飛びをする時の日菜乃ちゃんって、凄く格好いいんだって?」

 誰に聞いたのだろう。

 一部の男子生徒がそういう事を言っているという話は聞いたことがあるけど、そんなのは話のネタにされているだけ。実際は誰もそんな事を思ってはいない。

「集中するから、ちょっと怖い顔になっちゃってるのかなぁ。」

 私は高飛びのバーと向き合う瞬間が好き。

 心臓が飛び出るかと思うほどの緊張感。

 火照る体。

 はやる気持ちを深呼吸して抑える。

 そのうち会場の音が遠くなり、歓声さえも聞こえなくなる。

 聞こえるのは自分の心臓の音のみ。

 バーを飛び越えるまでの数秒間は、完全にひとりの世界へ入り込む。

 そうだ。思い出した。

 陸上部に入った理由。

 ひとりになりたかったからだ。


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