20話 シャッキング
城壁都市パルマは、要塞都市と言ってもいいだろう。
今回施した、城壁の大改修は日本にもある星型要塞、五稜郭を模した形になっている。
この、星型要塞は、突起部分からの攻撃で、それぞれの、面や他の突起部分を守れる。
この仕組みを、最初に考案したイタリア人は天才だね!
まぁ、それでも、この星型要塞にした理由は、魔法があるからなのだ。
地球では、イタリアで発祥した星型要塞は、火薬、とりわけ、銃火器の普及と共に改良をされていった。
火砲の登場で、城壁を破壊されていくにつれ、壁は分厚く、様々な材料を使うことにより、砲弾によって飛び散らず屈せず、より、多方面の突起部分からの攻撃で、死角を無くしていったのだが…
地球人って、色んな物を攻略するの好きな、ホモ・サピエンスじゃん?
戦車や航空機の登場で、要塞とかの必要性がそもそも無くなっていっちゃったんだよね…
俺はこの、無用の長物に将来なると分かっている、不完全で美しい星型要塞が好きだ!
そう! 好きだから、作っちゃった!
いやー、もうね、毎日、毎日、城塞工事の日々。
実際は… まぁ、5日間くらいだったけどね。
出来上がった、星型要塞都市パルマ!!!
これが、また大人気なのさ!
カッコイイは、正義なのだ!
たぶん、この都市を落とせる人は、蒼炎の魔女と俺くらいじゃなかろうか?
いや、もしかしたら、魔法の世界は広いだろうし、まだ、いっぱい落とせる人いるかもね。
そんな方々には、会いたくないでござる…
まぁ、そんな天然記念物に指定されそうなバケモノが攻めてくる事態なんて、そうそうあるもんじゃないし、ようやく、そう! ようやく、俺に平和な日々が訪れたのでした。
完
って、なると思っていた時期もありました…
そうなのです… わたくし、シャッキングなのですよ…
日本円に換算して、おおよそ、1千億円。
俺の頭の中の選択肢が、どれにするか悩んでいる。
①働いて、働いて、返すせずに、逃げる。
②働かず、働かず、逃げる。
③ゴマをスり、許しを乞いながら、逃げる。
④とりあえず、逃げる。
残念な脳みそしかない俺の選択肢なんて、こんなもんよ?
ちゃんとするんじゃなかったのかって?
はぁ? 頭悪いの? 俺、まだ高1ね! 16才ね! 未成年者よ? 1千億円の借金背負わす方が悪いのだ!
そう! 逃げる一択の俺は悪くなーい!!
俺は、逃げる準備に取り掛かった。
何処に逃げるかって?
木を隠すなら森に、人を隠すなら大都会に、という勝手な推測で、俺はこの国の首都へ観光も兼ねて逃げる事にしたのさ。
しかし、陸路で向かうとなると、追ってがかかる可能性大。
それも、旅慣れていない俺には不利な条件だ。
だから、小さい脳みそで考えた結果、空路を選ぶ事にします!
要塞都市パルマには、海岸から遠い位置にあるので、空路案はポジティブな選択だ。
この世界には、まだ航空機はないらしいよ!
魔法で空を飛べる、蒼い炎を出すのが大好きな魔女とかはいるけど…
まぁ、魔法士は沢山いるが、空を飛べる奴なんて数える程… だよね?
俺は、まだ返済期間が残っている内に、出立するべく、新しい魔導具の制作に勤しんでいた。
そんな時間があるなら働けと?
まぁ、そんな事を言ってくる奴も、これを見たら、口あんぐりよ?
名付けて、飛空魔導船!
魔鉄製の帆船にしたかったんだけどね…
帆船の操船技術がなかったので、諦めた。
諦めから始まる進歩もあるのですよ!
その飛空魔導船の姿形は…
日本のアニメ、ガ〇ダムの母船、ホワ〇トベースの丸パクリ…
本当に申し訳ありません…
【フライト】が付与されている魔導具が、船底に何個も設置されており、後方部には、【蒼炎ジェット】のエンジン型、魔導具で推進力を得る仕組みなのだ。
でもね、この飛空魔導船、ホワイ〇ベースの1/10サイズなのさ!
魔法って凄いよね。
マジックバックの要領で、飛空魔導船の中の空間は広いのだ。
恐らくは、本物と中身の広さは変わらないのではないかな?
我ながら、素晴らしい物を作ってしまった自負はある!のですけどね…
全長20m位あるからさ…
外で作ってたんだけどね…
見物人が、出るわ出るわで、出店まで出来ちゃってるのよ。
この世界って娯楽、少ないから、珍しい物とかには、みんな興味津々なんだって。
「おい… ソラ… これは何なのだ!?」
パルマ侯爵閣下まで、見物においでくださっちゃいましたよ?
「船… ですね…」
「俺の知っている船とは、大分違うようだが?」
「そうですよね〜 違って見えますよね〜」
「お前は… バカ… なのか? ここは陸地だぞ??」
可哀想に、俺。 バカにされてるよ?
でも、それが、俺の狙い!
コイツは逃げ出したりは、出来ないバカと思われる。 素晴らしい!!
アイ・アム・おバカ!
借金の返済期間が終わるまで、そう思ってらっしゃい!!
「あー!! 凄ーい!! ホ〇イトベースだあ! ソラくん… 空飛ぶの!? いいな! いいな! 私も乗せてよ〜」
冴恵先輩? いきなり出て来て、バラすの止めてくれます?? でもさ、目を輝かせて見てきて、乗せて、だってよ! 天使かよ!?
フッ… 仕方ないな… 冴恵先輩との初デートを、この世界の夜景が見える大空で行おうではないか!?
って、あれ? おい、おい、何で?
ゾロゾロと、皆さんで乗り込んでくるのかな?
えっ!? おかしいよね?
俺は、パルマ侯爵閣下をコクピットへとご案内している。
何故こうなった…
豪華な艦長席へ閣下を誘導したつもりはなかったのだが、勝手に座られてしまう。
何故こうなった…
パルマ侯爵閣下の私兵の中に見知った顔が見えるな。
【蒼銀の砦】の連中だ。
「よぉ! 今度は何したんだ? おまえ?」
ロダンは愉快な顔をしながら聞いてくるが、答えてくれるのは天使な冴恵先輩。
「これから空飛ぶんだよ!! ホワ〇トベースだよ!」
冴恵先輩… ホワ〇トベースは伝わらないよ?
本当に… 何故こうなった…
「出発進行ーー!!! 目指すは… えっと… そういえばソラくん? 何処向かう予定だったの???」
冴恵先輩はコクンっと首を傾げながら、天使の笑顔で聞いてくる。
「そうだね… とりあえず… 真っ直ぐ行ってみよっか…」
確か、俺が手に入れた情報によると、この要塞都市パルマから北へ直進すると王都へ着くっぽい。
馬車だと数週間も掛かるらしいが、飛空魔導船なら数時間で着いちゃうんだろうな〜
みんなの驚く顔を見納めに、おさらばしよう…
そう、俺はこの船の進路と一緒で、真っ直ぐに逃げるんだ!!
ニヤつく顔をなんとか抑えながら、飛空魔導船を起動させると、一瞬けたたましい駆動音が響き渡り、ゆっくりと船体が揺れながら宙へ浮き上がっていく。
周りから歓声が上がっているけど、そんなものどうでもいい。
「今度こそー! 出発進行ーー! 真っ直ぐ!!!」
冴恵先輩の天使の掛け声が、軽やかに響いていた事を俺は忘れない。
これから先に巻き込まれる戦いの事に比べれば、1千億円の借金くらい我慢してればよかった…
なんて事に気づくのは、また次のお話しで…
to be continued…
この回で一応の最終話になります。もし続きが気になる方がいてくれましたら、書いていきたいと思います。




