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君と私と竜と白と黒  作者: 雨月 そら
竜の嘆き
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救出1

 目の前でカロがサラマンダーに飲み込まれて、黑は様子を窺うにサラマンダーを見つめていると急に魔法が解けた様に黑の身体は漆黒色の機械の(ドラゴン)から本来の人の形をした姿へと戻った。

 普通であれば自分の身体が戻って来たのだ喜ぶべきなのだが、それは同時にカロは器を無くした状態にあるという事で黑は眉間に皺を寄せた。

 早くしないとカロ自身が、祟り神(アナテマ)になってしまうからだ。でも、サラマンダーは完全に黒く染まりきっていない、今ならまだ助け出すチャンスはある。

 黑は手の中の漆黒色の機械の(ドラゴン)視線を落とすと、ギュッと手を握り締めて心臓の位置まで移動させるとその手が淡く光って手の中の漆黒色の機械の(ドラゴン)は消えた。


 (...必ず、君を助ける)


 黑はそう心の中で決意すると、荒れ狂うサラマンダーの口の中へと飛び込んで行った。


 サラマンダー内部はブラックホールの様になっていてその中に吸い込まれると、この世界で起きた様々な出来事の記憶がぐちゃぐちゃに入り組んで大きな渦を巻いていた。

 そして、渦の中心には今にも消え入りそうな、掌サイズの球体が光っていた。

 黑は直様記憶の渦に飛び込んで切り裂く様に掻き分け、その球体に近づいて手を伸ばす。指先に触れた球体から温もりと、今にも消え入りそうな小さな鼓動が伝わってくる。


 「...カロ!...いや...シン...心!!」


 掴めそうで掴めないその指先を伸ばしたまま、黑は普段荒げない声を目一杯振り絞って大声で呼び掛けた。


 反応は、ない。


 記憶の渦が二者(ふたり)を飲み込もうと、怒涛の様に押し寄せてくる。


 「心!!心!!ちゃんと、思い出せ、心!!」


 記憶の渦に声を掻き消されそうになっても、押し寄せる大波に遮られて折角伸ばした手が段々と離れても黑は諦めなかった。

 何度も何度もカロの本当の名、心と呼び掛けて、埋め尽くされそうになっても何度も何度も掻き分けて手を必死に伸ばし、やっとの思いで球体を掴んだ黑は一気に自分のマナを流し込んだ。


 パァァァァァァァっと球体が輝いて、一帯は光に包まれた。


 真っ白な世界の中、中央には虚ろな目をして両耳を塞ぎ両膝を立てて縮こまり座っている少年姿の心がいた。


 黑は、ゆっくりと心の前に立つ。


 「...人殺し...違う...違う...違う...」


 全く黑に気づく気配がなく、何かに囚われているのか怯えて小刻みに震えながら心はブツブツとそう呟いた。


 「...心...思い出して...心!黑神(くろかみ)心!!」


 目の前の黑に大声で呼ばれ、心の虚ろだった目に光が戻り、やっと黑に視線を向けた。

 黑は優しく微笑み掛けて手を差し伸べると、心はその手を見てから黑の顔を見上げ泣きそうな笑みでその手を取った。


 そして、物凄い勢いで一気に二者(ふたり)の身体は上に引っ張り上げられた。

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