地の竜の追憶4
ノームはあの獣耳の子供を狼獣人と名付けて大事に育てた。自分が知り得る知識を語って聞かせると、いつしか会話ができるまでになった。その子はすくすく育って、ノームには負けるが博識に育った。ただ、ノームはあまり見た目に執着していなく竜の姿のままであり、その子も女性らしく成長したのに獣の皮を直接身に巻き付けただけの簡素な姿だった。
「ねぇ、父さん。何故、僕は人間なのに獣の耳と尻尾があって、父さんは竜なの?」
「ん?...そうさのう...確かにおかしいのう...だがの?わしの姿では嫌か?」
「嫌とかではないけど、おっきすぎるし、話しずらいよね。今も、結構、声張り上げてるんだけど?」
「そーか、そーか、なるほど。それは気づかずにすまんでの...なら..」
そう言った途端前の人間の姿ではなく、その子と同じく獣耳と尻尾を持った人間の姿となった。
「これで、わしらも親子らしいでの?」
「わぁ!!すごい!!やっぱり父さんは、魔法使いなんだ!!」
「んー...魔法使いではなくて、この世界の神なんだがの」
「え?だって、神様ってよく分からないし、魔法使いの方がかっこよくない?」
「そんなもんかの?」
「うん!」
二者は、仲睦まじく笑い合っうとノームがその子の為に作った家へと手を繋いで帰っていった。
それから時は過ぎ、星降る夜にその子のお腹が大きくなって子ができた。ただ、何故子が急にできたのか、子を産む時何故か狼の姿であり、生まれたばかりの赤ん坊は狼の姿なのかは分からなかった。
ただ狼になると着ている服が破れてしまうので不便に思ったノームは、子がお腹の中にいる間に髪飾りを作って服が仕舞える様に魔法を掛けて髪に付けてやった。
そうすると何故か髪飾りは可憐見えるが身に付けている服が見窄らしく見えて、今度は糸を編んで服を作る事を思い出し外の獣を狩って糸を紡いで服を編んでやった。
そうやって原始的だったのが、ノームが何か気づくと充実していった。
狼獣人は段々と数を増やし、色々な考えを持つ者が現れた。狩りを充実させる為に武器が必要だとか、外の国はどうなってるのかと。
特に一番先に生まれた子の子供は強靭な身体を持っている割にノームに似て好奇心が旺盛で、他の国を知りたいとある日突然大荷物を持って旅立ってしまった。
ただノームも外の国がどうなっているのか感じ取る事はできてもぼんやりとしか分からずもっとよく知りたいと思っていたから、その子を止める周りの者を宥める振りをして陰でこっそりと協力していた。
ノームの後押しがあって、狼獣人達は他の国へ行商へ頻繁に行く様になり、四国うちキュアノスとフリークとの繋がりが強くできる様になった。
ただそうした事により好奇心を他の民にも植え付けフリークの民は空に憧れ旅したいと夢を膨らませたし、そもそも凶暴な獣もノームが解き放ったのである。
凶暴になるとは思っても見なかったが、この世界が炎の海になった時にやっとノームは気づいたのだ。
ノームは、嘆き自身の知識を呪った。
そして、美しかった自分の国が炎に飲まれマナの宝庫の山脈も崩れ、維持できなくなってしまった。
ミニエーラはこの世界の要でもあったから、自分だけでは元に戻す事もできず、スクルドから聖獣を犠牲にして復活させる事を教えられてそうするしか世界を元に戻せなかった。
ノームは愚かさに涙し、大切に想っていたウロボロスのそれぞれの聖獣を奪ってしまった事に心を痛めた。




