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君と私と竜と白と黒  作者: 雨月 そら
竜の嘆き
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地の竜の追憶3

 埋めた種は直ぐには芽が出ず、ノームは何故芽が出てこないのか側で観察しながら考えていた。知識の海で得た知識を思い出し、水が、草木が、徹底的に豊かな自然が足りない事が原因かと思えば、直様ノームは自身の魔法を思う存分大地に注ぎ込んだ。

 此処は、マナの宝庫、いくらでも魔法が使えそうな感じがした。

 かと言って永遠に使い続けるにも器が耐えられず、器が限界になると意識を失って倒れ眠り、目が覚めるとまた魔法を使うという荒技を行った。

 その時のノームはアドレナリンが異常に出ていて、普通なら強烈な疲労感で寝込んでしまっても不思議はないのだが、全く疲労など感じなかった。


 そうして、四国の中で一番早く自然豊かな国になった。ただ、属性が土である為元々あるものを広大にすることはできても生み出す事はできず他の国よりも自然は少なかった。

 それでも周囲を囲む岩山は洗礼され磨き上げられ、鋭くも美しい黒い宝石の様な山々となった。ただ、ノームが魔法を酷使した為に多くの山々は形を維持できなくなって崩れ去ってしまい、そこは鮮明な赤、青、黄、白、藤色と多彩な色をした砂や岩石でなる砂漠になった。

 ただ元々あった四国を繋ぐ大きな河川の側には熱帯雨林が生い茂り、大きく綺麗な円を描いた湖もできた。


 やっと土壌が整い、生物が生きるには生きやすい環境となった。

 そして、それを狙ったかの様に大雨が降った。それも太陽が燦々と照っている状態の天気雨。雲一つない異様であったが、降り注ぐ雨は太陽の光に照らされてキラキラと輝いてあの種の輝きの様な雨であった。


 昼間はずっと降り注いでいた雨も夜になれば雨が止みそこからは大地が目を覚ましたかの様に、一つの種は一気に四国を覆い被さる勢いで大きな大樹となった。

 すると山脈に何処から現れたのか、蛍の様な精霊が大群で集まって粉雪の様な光を注いだ。そこから山脈は呼吸する様に輝き出してその光は大樹へと流れて大樹ごと行きをする様に輝き出すと、沢山の不思議な実がなった。

 一晩中その実も輝いて、太陽が昇り陽の光に当たるとその実は各国に弾け飛んで一瞬のうちに大樹は蜃気楼の様に消え去った。


 それをずっと見ていたノームは普段は聞き役で殆ど喋らないのに、嬉しい気持ちを抑えきれなくてずっともう一つの実に囁く様に語り掛けていた。

 そして朝になって両腕に抱える程の大きな実がノームに降ってきて、それを尻餅をつきながら抱えた。その実は暖かくドクドクと脈を打って生命を感じたノームは、優しく優しく撫でてやるとやがてその実は淡い光を放ちながら紺色の子供の狼となった。


 「おぉ、これは!」


 ノームはそう感激した様に言い放つと直様立ち上がり、その狼を種に見せる様に少し前に出す。


 「おぬしの、兄弟での!」


 そう嬉しそうに言った瞬間、狼は光を放ち種が埋まっている方へと吸い込まれていった。驚いたノームはいつになく機敏に種が埋まっている地面に両手を付いてキョロキョロと慌てた様子で覗き込んだ。

 暫くして、パァーッとその地面が眩く光り出す。

 ノームは更に驚き尻餅を付いて、空へと立ち昇る光を消えるまで不思議そうにじっと見続けた。その光はそう長くは続かずものの数分で消えたが、消えた頃には光っていた場所に狼の耳と尻尾を持った裸の子供が丸くなって、すやすやと安らかに眠っていた。

 それに気づいたノームは、歓喜して感情が込み上げきて涙が溢れてきた。その涙を拭い、立ち上がると健やかに眠っている獣耳の子供を起こさない様にそっと抱き抱えた。

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