地の竜の追憶2
ノームは、あえて岩山しか殆ど無い場所を選んだ。自分の属性に、適しているのもある。
此処を選んだ理由は当初より気になって仕方ない、竜は何故、このただの岩山で生活できるのかが知りたかったのだ。
生物は大河の中にならいるが、岩山に何か生物は見当たらない。と言っても、竜は、生物を食べているわけではない、聖獣なのだからマナが必要なはず。
それがようやっとこの目で、この手で実感できる様になるのだとワクワクしていた。
もちろん、スクルドと地の神との約束である、此処を豊かな場所にするのが先決ではある。
ノームはまず、生物が居なさすぎる事が駄目なのではないかと考えた。知識の海で得た知識によれば、花を咲かせてもその種を運ぶのに自然の風だけでは広範囲に増やす事は出来ない。実を食べて種を溢すものや種を埋めるもの、そういった生物がいるからこそ増やせると読んだ覚えがある。
そして思い出した、食物連鎖というものがあって一つだけ生物が居てもその生物が増えすぎると、例えば草食であれば草花が食べ尽くされて折角豊かな自然を作り上げてもいつかは無くなってしまうのだ。
となれば、色んな生物が必要と考えた。知識の海で知り得た生物を思い浮かべ、その色んな生物達が息づいたらと思うと、ノームは楽しくて楽しくて仕方なかった。
ただ、ノームに創造する力はなく元々居ない生物は生み出せない。そこで、スクルドから二つの種を貰っていた事を思い出す。ただ何故、二つなのかは分からなかった。よくよく思い出してみれば、他の者は一つしか貰っていなく、こっそり二つ渡されたのだ。
何か意味があるのかと何となしに種を空に掲げると、陽の光に照らされてキラキラ輝いて目の悪いスクルドでも美しく映った。
けれど、その種をいくら見ていても答えはでない。
ずっと此処へ来てからどうすればいいのかと考えるばかりでずっと同じ場所にいた事にようやく気づいたノームは、まずはこの種を植えるところから始めることにした。
空高く飛び上がり、山々を見渡せる程の高さまで飛んだ。
此処へ来るまでは勢いで来た様なものだからじっくり上空から眺めるのは今が初めてで、上空から見える岩山はただの岩山ではない事にようやっと気づいた。
そこはただの黒い岩山と思っていたが、上空から見れば何やら気のようなオーラが漂って、山頂付近だけだが他よりも黒々しく岩肌が見え陽に当たるとキラキラと宝石みたいに輝いて、ただの土と岩の山ではなかった。
その部分に飛んでいき顔を近づいてじーっと見てみれば、中で小波の様に動くマナが淡く輝いていた。
ノームは山頂に近い降りられそうな場所を見つけると、前足でそっと壊れ物を触るかの様に岩肌を触ってみる。すると、ここいら一体の岩山の様子が手に取るように見えてきた。本を読んでいる時と一緒で、岩山の表面は固い土に覆われているがその内部は全てマナが蓄積されたものであった。
そっとシルフは手を離し、そのマナの結晶とも言うべき沢山のある岩山をそこから眺めた。
此処は何と、宝の山なのだろうと歓喜した。
そして、その中でも一番マナの量が濃い岩山があることに気づくと、胸がドキドキ高鳴ってそこまで急いで飛んで行った。
そこは他の岩山より少し背の低い場所で、その岩山の周りは切り取られた様に何も無い。マナの量が濃い以外は他の岩山と変わりないのだが、手で触れる必要がない位にマナがみなぎっているのが感じられた。
ノーム自信もその岩山の近くにいるだけでエネルギーが満ちてくる感じがして、此処は知識の海で読んだ聖地という場所なのだろうと気がついた。
であれば、此処が一番種を埋めるのに的しているとノームは早速その岩山の麓に二つの種を埋めたのである。




