真実の隙間5
戦いは終結した頃合いにクーアとアルテミスの元へ、シュッツァー ら三頭の狼が駆けつける。
「おい、大丈夫か?」
シュッツァーは、クーアとアルテミスを心配そうに覗き込む。双子もシュッツァーの後からやってきて両側に別れて側に寄るとアルテミスの腕を心配そうに撫でる様に顔を擦り付ける。
「...大丈夫よ...クーアも、今は疲れたみたいで...眠ってるだけの様だし...」
双子の気持ちが伝わったのか、アルテミスは双子の頭を交互に優しく撫でる。
「...そうか...自力では動けないだろう...俺達がウンディーネ様の所まで運ぼう」
「...ありがとう」
「...いや...俺達の方こそ...ルフ兄を助けてくれて...ありがとう」
そう言ったシュッツァーはいつものぶっきらぼうな感じはなく、いつになく優しい顔をしてアルテミスとクーアを交互に見た後に深く首を垂れた。
. . . . .
ポエニクスの中心部にある大火山は、噴火はまだしていないものの山より噴煙が朦々と立ち込めている。その中で岩山を削り内部へと降りて行く階段があり、そこをカロ達は飛竜から降りると降って行った。
深部へ近づくにつれ内部のマグマ溜まりの熱気で灼熱地獄である。ナイトケープのフードを被り更に防御魔法を掛けている為、実際の暑さは感じてはいないものの滝の様な汗を流している。それでも体力、魔力消費を抑える為に黙々だが足早に、此処の地形を把握しているヴァンを先頭に降っていく。
深部、マグマ溜まりのすぐ側にまで降りていくとそこには紅焔の巨大な竜が丸まって死んでいるのかという程静かに眠っている。ただ、時折、身体が上下に動くので生きてはいる様だ。その竜には頭、心臓、尾に、燃え上げる焔に包まれた鷲に似た鳥が留まっている。だが、置物の様にぴくりとも動かない。
「あれが、三柱神の杭...やな...彼方さんはまだか...」
ヴァンが最後の階段を降り終わり警戒しながらじっくりと観察する様に周りを見て、ボソっと呟いたその瞬間。
真上から頭から落下する様に二頭の大きな真っ黒な狼が飛び降りてきて、竜へと降り立つ。そこから、二頭の内大きい方の狼から真っ黒で真っ赤な片翼の模様が目立つローブを身に纏い、深くフードを被った男が狼より降りてじっとカロ達を見下ろす。舞い上がる炎に身を焦がれようとも、全く微動だにしない。
男がパチンと指を鳴らせば、二頭の狼は頭と尾の焔に包まれた鷲に駆けていく。そして、男は心臓の位置にいる焔に包まれた鷲にゆっくりと近づいてその首を鷲掴みにする。男の手は轟々と燃えその身全体が燃えようとも、お構いなしだ。
「やぁー、アテネ。きっと、来てくれると思ったよーぉ」
男はフードをもう片方の方で取ると、傷のある閉じた目を指差す。
「あの時はーぁ...俺のこの目のお礼を十分できなかったからなーぁ!最後に...此処でしっかりお返ししてやるよーぉ!!来いぃ!!アテネ!!来ないと、直ぐにでもこの杭抜いちまうぞーぉ!!」
男は二ヤーっと不気味に笑い、高らかに怒鳴る様にそう叫びながらアテネを指差し、狂った様に盛大に笑った。




