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君と私と竜と白と黒  作者: 雨月 そら
真実への始まりの戦い
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開戦3

 空に浮かぶ真っ黒な飛行船はゆっくりとゆっくりとフォルケに近づいていく。両船の船首が交差し、両船の側面に描かれた翼が丁度対の様に見える。ただ、フォルケは優しいそよ風を思わせる薄緑色に対し、真っ黒な飛行船は血の様な毒々しい赤。対極。

 フォルケに寄せ黒い飛行船はピタっと停止し、船の中から狼獣人(ルプス)の人型ではあるものの全身が真っ黒で瞳の色は船の翼の色と同様に真っ赤で充血し、薄らと開いた口に不気味に吊り上がった口角、ちらつく歯は牙の様に鋭利で、長い爪は獣の爪そのもの。もはや人間というよりは化け物が、ゾロゾロと覇気が無く虚な目をして出てきてフォルケの船に飛び乗ろうとする。

 ただその動きは人智を超えた身体能力で素早くジャンプ力も狼の状態と同じく、最悪に凶暴な力を惜しげも無く振う。中には、その身を投げうる様に体当たりしている。

 ただフォルケには共同魔法(ソリダリティ)が張られているのでそう易々とは入り込めずに、地面目掛けて落ちていく。普通であれば大怪我若しくは死んでもおかしくない高さ、そこは人喰鬼(イーター)と化して強化されているのか手足を器用に用いて綺麗に着地する。その姿は人型なのに、狼を思わせる。

 船から落ちてきた人喰鬼(イーター)はの手をぶらんっと垂れ下げた状態でそっと立ち上がり、一気に森へと地面を抉り物凄いスピードで駆け出して行く。カロ達が見た人喰鬼(イーター)とは全く比べ物にならない。

 それをアルテミスはしっかりと見届けていて、ギリギリまで光の矢を待機させ、人喰鬼(イーター)が飛び掛かろうと地面を蹴るその瞬間に秒で合図し、光の矢が幾千も飛んでいく。至近距離での攻撃に、いくら強靭と謳われる狼獣人(ルプス)が原型でもひとたまりもなくまともに喰らって地面に背を付ける。バタバタバタと次から次へと飛んでくる光の矢に人喰鬼(イーター)は倒れて行くが、暫くしてゾンビの如くゆらりゆらりと動きは鈍いものの立ち上がろうとしている。

 そこへ、フォルケに搭載された艦砲がその人喰鬼(イーター)に目掛け発車、萌葱色の光の弾丸が渦を巻いて命中し地面をも抉り大きく吹き飛ばす。

 エルフ達はその攻撃の前に素早く防御魔法を展開し後退していて、森の前線から奥へと引っ込んでいた為に弾丸の波動の煽りは受けたが無傷である。これは、アテネとニフリートとアルテミス、そしてバクサで作戦会議を行った時に決めた作戦だ。

 ただカロだけは先に後方へ退却していたのだが、それはエルフの足の速さにカロはついていけないからであった。

 クーアが案内役としてついて来た時にもその差を感じて悔しく、此処へ来た時は特に感じなかったはずが今は強く感じる様になった。

 アテネが心配してミニエーラへ逃げる提案もされたが選択しなかったのは、カロ自身旅を通して少しずつ自信も付いて変わってきたからとも言える。

 ただ、本当に変わってきた事なのか、本来の姿に戻りつつあるのかは定かではなかった。断片的に思い出す事はあってもそこから全てを思い出すことはなく、けれど、自分自身に違和感を感じ始めていたのは確かであった。

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