共同戦線3
ヴァンが家から出てくると家の少し前でしゃがみ、片足と片手を地面に付けた。
「変形!!」
ヴァンの手の甲が煌々と萌葱色に光り出して片翼の模様が浮かび上がり、地面にもヴァンと同じ模様の大きな魔方陣が描かれると光は強く光線となり、猛スピードで昇って花火が花開く様に弾けると空中都市全体を包み込んだ。
大地震の様に島全体が大きく揺れ、空中都市が変形していくと言うよりは、飛行船フォルケが大きく大きくなって島を飲み込んだ形で、巨大な船になった。
ヴァンは少し疲労感が顔に出ているものの、姿勢はそのままですっと目を瞑る。ふっーーっと息を吐き出し、片手により力を込める。
「神鳥!!」
力強く呪文を唱えたヴァン自身が、萌葱色の光に包まれて魔方陣も小さな星の花火みたいな光がパチパチパチっと飛び散るとより一層光輝いて、光があっという間に通り抜ける様な猛スピードで飛行船は光輝く中を移動していく。
乗ってる方はGが掛かっているはずなのだが、少し身体が重い程度しか感じられないのは魔法のお陰である。
神鳥のお陰で一気にキュアノスの結界の手前まで来ると、ヴァンはゆっくりと目を開け、少しふらつきながらも立ち上がる。額には薄らと汗が滲み、顔は先程よりも疲労感が滲み出ている。
それでもヴァンは休むことなく両手で頬をバンバンと鳴るほど強く叩いて気合いを入れて甲板へと歩いて行き、親指に付けているサムリングを高らかにキュアノスの方へ掲げた。
すると、その指輪が急に眩く光り出したと思えば、一直線にキュアノスのイシュカ城まで一気に伸びた。そこから、飛行船は結界をするりと抜けてゆっくりとその光線に導かれる様に進んで行った。
イシュカ城上空までくると飛行船はゆっくりと止まり、指輪から出た光線は段々薄れて消えていった。
「うぁあ、きっつー!」
ヴァンは掲げた手をだらんと下げ、もう片方の手を腰に置くと下を向き、緊張から解放されたようにそう叫んだ。
はぁっと大きくため息を吐いてからゴロンと床に仰向けで寝転がり、うーんっと声を小さく漏らしながら両手を伸ばしきると、身体の力を抜いてゆっくりと目を閉じていった。少しすると小さく寝息が聞こえてきて、ヴァンはそのまま眠ってしまう。
そこへ準備で動いていたデニスがズカズカやってきて、ヴァンの寝顔を覗き込むとお疲れ様とでも言うように僅かに微笑んで、ヴァンを軽々しくお姫様抱っこで抱えると船内の方へと連れて行ったのだった。




