決意1
ひとしきり笑った後、ヴァンと目が合った。ヴァンからはすっと笑みが消え、真剣な眼差しを向けてくる。
「でな、わいらはもう時間がないんや。このままいけば、原動力がのーなって、この飛行船は落ちてまう。わいらが住める場所は、今のフリークの地にはほとんど無い。だから、この戦いに終止符を打つ為に力が少しでも必要なんや。...それに、キュアノスにも関係ない話でもないしな」
ヴァンはそう言って、クーアに視線を移した。すると、クーアの眉が寄った。
「それは、どういう意味?」
「そない怖い顔、すなや。...どうも、持ち直したはずのウンディーネさんの力が徐々に弱まってるらしいんや。そこを一気に攻め込んで、エルフ狩りをしようとしてるんかもしれんな。狼獣人には劣るとはいえ、エルフの中には、星の雫を使える一族がおるんやろ?」
クーアはヴァンの星の雫という言葉を聞いた瞬間、鋭い視線をヴァンに向けた。
「何故、それを知っているの?それを知っているのはエルフ以外には、守役と族長くらいのはず」
「わいは、族長やからな」
そう言って、ヴァンは右手にはめていたグローブを取ると右親指にしている宝石のエメラルドの様に輝く石が嵌められた指輪を見せた。
「サムリング...」
ヴァンの指輪を見た瞬間、目を見開き、クーアはボソッとそう呟いた。
「キュアノス、ミニエーラ、フリーク、ポエニクスの同盟の証として作られたという指輪や。いつしか、その国の族長が身に付ける習わしになった指輪やな。今は、フリーク以外の国には無い指輪でもあるんやけど、なぁ?これで、理解してもろたやろか?」
クーアは指輪をじっと見つめていた。釣られた形で、カロも指輪を見た。じーっと見つめると石の中に緑色の炎がまるで生きて波打っている様に見えた。
「命石...本物なら主の魔法で輝くはず」
指輪からヴァンに視線を移したクーアは、催促する様な目をしている。
「...命源の雫」
ヴァンはクーアの視線を受けると、静かに呪文を唱えた。すると、ヴァンの指輪は小さいが星が瞬く様に光り輝いた。
「...本物...みたいだね。...存在してたんだ」
「せや、確かにここにな。今は、四国はバラバラやけど、繋がってたんや。まぁ、裏では繋がってるんやけどな、ポエニクス以外は。なぁ、シュッツァー?」
「え?」
シュッツァーの名前が出た途端、クーアは驚いた様にシュッツァーを見る。カロは声に出さなかったものの、クーアと同じ驚きでシュッツァーを見た。シュッツァーといえば、顔色はいつも通り。
「昔からの知り合いの様に話しかけるな。俺は、お前とは初対面だ」
「そやけど、裏で繋がってんのは知ってたやろ?族長なんやから」
シュッツァーが族長だというのを今まで知らなかったカロは、驚きを隠せないままシュッツァーを見た。
「まあ、知ってはいたが、他国とのやり取りはノーム様がやっていたからな。俺はあくまでも、仮だがな」
仮を強調するシュッツァーを、カロは何かあるのだろうかと思いつつ、見つめていたのだった。




