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君と私と竜と白と黒  作者: 雨月 そら
偽りと真実と
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解けた絆2

 カロが、ヴァンから聞いた話はこうだった。

 

 フリークという国は、元々今のこの飛行船の景色の様に、美しい自然と田畑の実りに恵まれた長閑な田園地帯だったという。中でも、中心街にある教会は、この飛行船と同じ薄緑色をしたこじんまりしているがとても美しく、中に入ると青や赤やオレンジなど様々な色のステンドグラスが窓に嵌められ、そこから差し込む陽の光がなんとも神秘的で、温かな環境を作り上げていたという。

 話の最中に投影(ビルト)で見た教会は本当に美しく、なんとも心落ち着くそんな感じがした。

 フリークは風の国でもあり、穏やかで心地よい風が山々から吹き、花びらを舞わせ、鳥達やカロ達が乗った鳥の様な形の機械のファルケを翔ばしたのだという。

 今は見る影もなく、美しい自然も穏やかな風も何もかもが失われた死地の様な姿になってしまったのは、ある事が原因だったという。


 ()()()()()が起こるまでは、フリークとポエニクスは、竜王たる(ドラゴン)が国を治めていたのだという。ポエニクスというのは、フリークの隣国である火の国の名前で、ある出来事とは遥か昔、ポエニクスにある大きな火山が()し、四国全土をマグマが呑み込もうとしたのだそうだ。その時は、()()()()()()()により救われたらしいのだが、それが原因だったのか、それ以降、(ドラゴン)の姿を見ることはなくなったのだという。そして、竜王が治めていたフリークは、竜王の末裔だという一人の少年が治めていくこととなったのだと。

 その少年の名は、シルフ。少年といっても、外見が少年にしか見えないというだけの話らしい。

 そのシルフは天真爛漫で、国を治めというよりは、友達や家族に接する感覚で、皆と楽しく過ごす事が大好きなそんな存在で、己の為に支配する暴君とは縁遠い存在だったのだという。そんな彼だったからこそ、皆から慕われ、皆の協力を得られたのだと。

 だがある時、興味本位でポエニクスに入った若者達がいた。どうも、不死の花が火山に咲いていて、それを見ることができると幸福が訪れるといい伝えられていたのを確かめるためだったらしい。本来、ポエニクスは他国の者は立入禁止とされていた。何故なのかは、分からないらしいが。

 若者達は戻ってくることは無かったのだが、その時からフリークは雨が降らなくなった。人々は、ポエニクスの(ドラゴン)の祟りだと噂した。だが、シルフは違うと訴えていたのだとか。

 しかし、雨が降らない日々が続けば、農作物が育たない。そうなれば、食べる物が無くなっていき、人々は飢えていくしかなく、シルフと人々の間で初めて亀裂が生まれたのだと。人々はシルフを無力な王だと、責めたという。全ての者が責め立てた訳でなく、シルフを神として据えて祭立てていた教会は、最後までシルフを庇ったのだという。

 だが人々の行き場のない怒りは収まらず、遂に教会と人々で争いになった。教会は何としてもシルフを守る為に、教会の特別な部屋へ隠した。

 争いは激しくなっていき、武器を取り出し、殺し合いになりそうになった、そんな時、荒ぶった一人の男が銃を放った。銃弾は教会に所属していた少年の心臓を運悪く撃ち抜いてしまったという。

 そして、隠れていたはずのシルフが、その場面を見てしまったのだと。


 シルフは、大地を揺るがすかという程の悲鳴を上げたのだという。

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