解けた絆1
シュッツァーは一度ゆっくりと目を閉じてから、またゆっくりと開くと鋭い眼光をヴァン達へ向ける。
「お前達はいとも簡単に同族を、殺した、という事か?」
語るシュッツァーは顔とは違い、静かな物言いだった。
その言葉に、ヴァン達はすっと表情を無くす。
一番先に苦い顔をしたのはヴァンで、不愉快そうに目付きでシュッツァーを睨んでいる。
「わいらが、好き好んで仲間殺してるわけないやろが。わいらかて、今までずっと家族同然に生きてきたんや。わいらかて、殺しとうない...ないけど...や...色々手は尽くしたんや...それこそ、命懸けや...それでも、元に戻す方法がどうしても見つからん。わいらかて、わいらかて...ころ...しとう...ない...」
ヴァンの静かな怒りを帯びた言葉は、だんだんと悲しみを帯びていく。涙を薄らと浮かべたヴァン。ヴァンの仲間達も何かを思い出している様に涙を浮かべる者、悲しむように俯く者、各々に悲しみが隠せずにいた。
「それくらいにしよう。ヴァン達が、そんな簡単に仲間を殺せる様には、感じられないのは分かってただろう?シュッツァーいくら......」
カロはそう言い掛けて、言葉を噤んだ。シュッツァーの顔もまた、悲しみの色を帯びていたのだ。それは、ヴァンの気持ちを分かったからなのか、はたまた違う事でなのかは、シュッツァーはそれきり黙りを決め込んで俯いてしまって何も話さないので、カロには分からなかった。
暫く沈黙が訪れる。
誰しも今の雰囲気では、悲しみに浸るしかないという様に。
「あぁ、湿っぽいんはやめや!」
服の袖口で荒っぽく涙を拭いたヴァンは、そう叫んだ。
張り詰めた空気が和らいで、皆、悲しみの色は少しばかり残してはいる様だが、表情も和らいだ。
「まぁー話進めるとな、一度、人喰鬼になると元に戻れんし、殺すしか救いはないんや。記憶そのものも、のーなってしまうから、もし、知り合いがおっても説得しようなんて思うたらあかん。下手に知性ある奴は騙すんや。そや、カロ達がおうた奴は知性がそこそこあったやつやなぁ。あんな形でだまかすんや。知性が高くなるともっと巧妙や。そん時は、きーつけろよ。人喰鬼の見分け方としてはやな、知性が高い奴ほど、独特な甘ったるい花の様な匂い、目がくすんだ金色で常に充血してる。血色が悪いと覚えとけばええ」
ヴァンの声は少し掠れ、口調もいつもよりもゆっくりと話していた。笑顔でもはやり想う所があるのだろうと、カロは思いながら真剣に耳を傾けていた。




