闇に落ちた街5
お互いの自己紹介をし終えると、ヴァンはいつになく真剣な顔付きで、腕を組むと、カロ達を見据えた。
「なんや、ここに来てもろうたんは、選択してもらおう、思うてな......」
ヴァンはすっと目を細める。
「今すぐ、ここから出て行くか、我々と共に戦うか、や」
カロ達は一斉に訝しむ様な顔付きになり、カロはヴァンをじっと見てから複雑そうな表情になり、カロ以外は周りを警戒する様に少し身構えた様な態勢で視線は鋭い。
「...なんで、急にそんなこと言うんだ?私達は、ミニエーラで祭を楽しんでいた最中、急に変な黒いものに飲み込まれて気づいたらここへ来てただけなんだ」
カロは、ヴァンを真っ直ぐ見つめたまま、荒げることなく静かな口調で言った。
ふっとヴァンは一瞬、少し呆れた様な笑みを浮かべ、鋭い視線をカロへ返す。
「なんや、何も知らんと、こんな所に来たんかいな?まぁ、おたくら、正規ゲートから来たんやないもんな。急にあそこに現れた、おたくらぁは、要注意人物なんやわ。まぁ、放つ氣ぃから、あいつらとは仲間だとは思えへんけど。目的が分からへんかったから、ここまでご足労頂いた訳や。ここならどうとでもなるからなぁ」
バァン
机を大きく叩く音が鳴った。シュッツァーが怒りを露にし、牙を剥いた獣の様な形相で、叩いたのだ。
「おい、舐めるなよ!こっちだって、黙ってお前らの言うことを聞くと思ったら、大間違いだ!!俺の仲間を傷つけようって言うなら、俺は...規律を...破っても、こいつらを守るためにお前らと戦う覚悟はあるんだ!!」
「そうだ!僕だって、仲間を守るためなら、君達と戦うから!」
シュッツァーが怒鳴る様に言った後、机に両手をついてクーアもすっと立ち上がり、そう言うと、鋭い眼光をヴァン達へ向けていた。
「ちょ、待って。ここで何を始めるきだよ。ちょ、みんな、少し落ち着いて。ヴァン達は別に私達に何かしようとしてる訳じゃない。ただ、私達が急にここへ来たから怪しいと思っただけだ。こういう時こそ、落ち着けよ。まずは、なんであんなことを言ったのか、まずはヴァンから説明を受けるべきだ」
カロも立ち上がると、今にも乗り出しそうな二人を、自分の腕を横に伸ばして抑えた。
「...ほぉ〜ら、心配いらんやん。だいたいやで、わいの直感は当たるんや。それに知らせは来てたやないかぁ〜なぁ」
さっきまでの緊張した空気はなく、へらっと気の抜けた笑みを浮かべたヴァンは組んでいた腕を頭の後へ回し手を組むと、デニスへと顔を向け、そう言って口を尖らせた。
「そな言ってもなぁ、あいつらぁの仕業だ。警戒するんは、仕方ないやろぉ?」
デニスは、フンと鼻を鳴らして腕を組むと、右目を瞑った。
「全く、それでわいが悪役しないとやなんて、損な役回りやで。...ちゅうことで、すまんなぁ、試させてもろうてん、すまんな」
後ろに回してた両手を顔の前に回し、手を合わせて謝る様に頭を下げた。
それを目の当たりにしたカロ達は、ポカンと気の抜けた顔をしていたのだった。




