闇に落ちた街2
「お前達、こんな所で何やってるんや?ここら辺は、人喰鬼が集まりやすいんやぞ?喰われたいんか?」
銃をホルスターへ仕舞いながら、彼方此方が擦り切れた焦げ茶色のカーボーイのような服装に、首に古びたゴーグルをし、クーアと同じ紺色の瞳を持つ、白髪をポニーテールにした青年が此方へ歩み寄ってきた。
「そういう、お前は何者だ?」
シュッツァーは双子を庇うようにギュッと抱きしめながら、警戒心剥き出しで青年に尋ねた。
「はっ!わいに尋ねる前に、お前が名乗ったらどないや?」
青年は怯む様子もなく、両手を腰に当てると自分より背の高いシュッツァーを見上げて真っ向から睨みつけている。一重なので、睨んだ時は糸目にも見える。
「なんだ、お前は!」
シュッツァーも負けずと眉間に深い皺を寄せて睨み返し、二人は睨み合いながら顔と顔が近づく。
「ちょ、ちょっ、何やってんのさ」
カロは見かねて間に割り込むと、二人を両手を使って離した。
「私は、カロ。あんた、助けてくれたんだろ?」
シュッツァーの前に立ちながら、カロは青年に向かって尋ねた。
「そや。...ふーん、まぁええ。わいは、ヴァン。風神って言う自警団のリーダーやっとる。あーゆー、人喰鬼共を退治したりしとる。よろしゅう!」
「あ、うん、よろしく」
ヴァンはにかっと八重歯を見せて人当たりのいい笑みで、さっと片手を差し出すとカロの手を取り握手して勢いよく上下に二度振ってから手を離した。
カロはなすがまま、驚きと戸惑いで立ちすくしている。
「さて、後ろの兄ちゃんは、名前なんてーの?」
カロ越しにちらっと視線だけ上げ、シュッツァーを見ているヴァン。シュッツァーは、少し気まずそうな顔をしている。
「俺は、シュッツァー。さっきはすまなかった。それと、この二人は、こっちがオネスト、こっちがジョリーだ」
「そか!よろしゅう!」
カロをさっと避けるとシュッツァーへ素早く近づき、ヴァンは片手を出した。
シュッツァーは双子から離れ、ヴァンの手を取り握手したのだが、二人は力任せに握りあっている。
(相性、悪いな...)
そう思いつつも、カロは今度は二人を止めず、黙って見ていた。
二人は血管を浮かびあがらせながら、硬い笑みをお互いたたえ、我慢大会のように握りあってから、一度上下に振って手を離した。
それからすぐに優しい笑みになったヴァンは双子へ近づいていき、頭を交互に撫でた。
「仲良くしてなー」
「「うん!!よろしく!!」」
双子も警戒心を解いて、ヴァンとすっかり打ち解け、嬉しそうな顔を浮かべてぴょんぴょん飛び跳ねている。
「さーてさて、で、おたくさんは?」
ヴァンは、クーアの方へくるっと向くと尋ねた。
「あ、僕はクーアと言います。宜しくお願いしますね」
「へー、クーア?...ふーん。よろしゅう」
ヴァンはクーアに近づき、握手を交わす。その時のヴァンの顔は少し何かを探るような視線であった。それをカロは、不思議に思って見ていた。
「さーて、ここにいてもしゃーない。隠れ家行こか〜」
終始、ヴァンにリードされたまま、カロ達は隠れ家へと向かったのであった。




