闇に堕ちた街1
カロが目覚めたそこは、むせ返るほどの悪臭と、墓場の様な薄暗さと、何処か遠くから規則正しい機械音が響いて聞こえる、不気味な場所だった。
「何処だ、ここ??」
カロは口元を片手で覆いながら、そう言うと立ち上がり、辺りをキョロキョロ見渡す。
近くには、シュッツァー、オネスト、ジョリー、クーアがうつ伏せに倒れていた。
慌てたカロは、彼らを交互に揺すって起こした。
寝ぼけた様な彼らは、まだ夢心地といった感じでそこに座り込んでいる。
「ちょっと、みんな、しっかりしなよ!」
カロの声に状況を段々と把握しだした彼らは、一斉に不快な表情をし、口を手で覆った。
「「うぅ〜く、臭いよぉ〜!!」」
オネストとジョリーは鼻を摘んで、涙目になりながら同時に叫んで、ぴょんと立ち上がると不安げに手を繋いで寄り添っている。
「な、何なんだここは。...とても人が住める様な所ではないな」
「一体...ここは何処なんだろう。見たこともない所だね」
シュッツァーとクーアは、辺りを警戒しながら立ち上がり、シュッツァーはオネストとジョリーの側へ、クーアはカロの側へと近寄った。
「あんた達も知らないのか...一体、何がどうなってるんだ?というか、この臭い、どうにかならないのか?」
カロも不快な表情でそう言った後、クーアと背中合わせになり、辺りをまたキョロキョロと見回し出した。
暫く緊張が続き、誰も言葉を発しない時間が過ぎた。
「...ここにいても埒があかないと思わない?ちょっと、移動してみようよ」
クーアの意見に、カロ達は交互に顔を見合わせた後、よく息があった様に頷き合うと移動し始めた。
警戒しながらカロ達は離れ離れにならない様に固まって感覚的に進んでいた。
「...もし...もし...そこのお方...」
道が見えてきた頃、背中が曲がった薄汚れたマントに深くフード被った老婆の様に見える人物と遭遇し、声を掛けられた。
カロ達は足を止め、老婆の方を向いた。
「どうしたんですか?」
クーアが老婆へ近寄って、声を掛ける。
「...食べもの...食べものを...」
老婆の皺々の片手がクーアの方へ少し震えながらゆっくりと伸びていく。
「食べものは、あいにく持っていないんですよ」
「...ふふ...ふふ...なら、お前の肉をよこせ!!」
先程の鈍い動きとは一点、老婆とは思えない素早い動きでクーアの首を掴もうとする。
しかし、異変を察したクーアによって振り払われ、クーアは老婆から後へ飛んで距離をとった。
「よこせ、よこせ、よこせー!!」
フードから見える老婆の目は獣の様に鋭く、口元から涎が垂れている。そんな状態でも、動きは素早く、クーアへと迫っていく。
クーアは戦闘態勢を取って、迎え撃つ態勢だ。
パン パン パン
何処からか銃の音が、三度鳴り、老婆へと食い込んだ。
クーアは驚きを隠せない顔つきで、固まっている。
「おい、そこのエルフ!ぼーとしてないで離れろ!まだ死んでない!」
「え?あ、はい」
駆け寄ってきた一人の青年の指示に従って、クーアは老婆より更に離れた。
パン パン
ハンドガンらしき銃を老婆に向け、また発砲した青年は、老婆近寄ると覗き込んで蹴飛ばした。
「...よし、死んだな」
唐突的な状況に、カロ達は立ち尽くすことしか出来なかった。




