偽りが崩れる時2
黑はニフリートをじっと見つめるだけで、何も話さない。
「みんなは、気付いていないと思うわ。私も、つい最近気づいたの。どうしてもね、辻褄が合わないの。考えれば考えるほど、矛盾していく。例えば、スピカはウンディーネ様の縁者で、あなたはスピカの双子なのよね?あなた達はここで生まれ育って...でも、スピカの小さい頃の記憶がないのよ。勿論、あなたも。スピカはすでに、今の少女での記憶しかないの。あなたなんて、漆黒の竜と同時に現れた時に、初めて見たわ。ねぇ、どういうこと?」
溜まり兼ねたニフリートは、赤裸々と話し出す。
尋ねられても、黑は何も答えない。
暫くの沈黙が訪れ、二人はじっと見つめ合ったままでいたが、黑の方が今度は口を開いた。
「...そう...君は、稀な気質なんだね。矛盾が生じても普通は気づかない。それが、この世界の理だというのに。...でも、それを聞いて、君はどうする気?周りの皆に言いふらす?」
ふるり、ふるりとニフリートは、緩く首を振った。
「いいえ、違うわ。私はただ、真実が知りたいだけ。これから起こるであろうことへの、心の準備って言った方がいいかしら?」
ニフリートはいいながらアンの顔を見つめて眉を顰め、黑はただ、それをじっと見ていた。
「アンから何か、聞いてる、そういうことか。......なら、交換条件にしよう。アンから聞いた話と、私達が何者なのか」
ニフリートは黑に視線を移す。
「分かったわ。...私がお婆婆から聞いた話は、一つ目はあなた達がミニエーラに行く途中、何者かにお婆婆が殺される。二つ目は、クーアがフリークへ行き、応援部隊を連れてくる。キュアノスは劣勢になるからって言ってたわ。三つ目は、よく分からないけど...白き獣が黒き者を救い、二つの竜は一つとなりて、世界は戻るって、お婆婆が言っていたわ」
ニフリートが言い終わるや否や、黑はアンを咄嗟に見た。
「そう、そう言うこと。分かった。...なるほどね、ロキが隠したかったことは、それ、かもしれない」
「ロキが隠したかったこと?それ?って何よ」
訝しげな顔でニフリートは尋ねるが、黑は答えないでアンを見つめ続けた。
「ねぇ!」
やっと気付いたかのように、黑はニフリートへ視線を向ける。
「それは、教えられない......と言うか、言うことが出来ない。それがルールだから。その変わり、私達のことを教えるよ」
そう言って、カロに話したことをニフリートにも話して聞かせた。
「そう...そう言うこと。神族ねぇ。私達とは、そもそも違うのね、スピカも、あなたも、ウンディーネ様さえも...ハハ、納得だわ。魔力が違い過ぎるって思ってたのよ。圧倒的すぎるもの...」
俯いたニフリート。暫しの沈黙の後、眉を寄せ、険しい顔つきで黑に視線を向ける。
「何が目的なのよ!ロキって何者よ!」
今まで冷静に話していたはずのニフリートが、急に感情を爆発さえたように声を荒げ、シンとしていた部屋に響き渡った。




