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君と私と竜と白と黒  作者: 雨月 そら
偽りと真実と
31/102

偽りが崩れる時1

 天灯(ランタン)でオレンジ色に染まった夜空を、黑はスピカと眺めていた。


 ジ ジジ ジ ジ ジ


 オレンジ色の夜空が、ノイズが走った様に歪む。誰かが掻き分けた様にオレンジは闇へと転じる。

 

 黑の目の前で、ドス黒い無数の手が、カロ、シュッツァー、オネスト、ジョリー、クーアに襲いかかる。

 ナビールは瞬時に輝く鹿へと変わり、ノームを庇う様に黒い手が伸びる方向へ立ち、そこへ空を駆けて颯爽とゲミュートも加わる。


 黑がカロの方へと飛び立とうとした瞬間、目の前が眩い青白い光で包まれていった。



 . . . . .



 黑の視界は、ぼんやりとして見えない。瞼というものがあれば瞬きもできるだろうが、黑には生憎それはない。感覚的なもので、少し時間が経てば視界も澄んできた。


 そこは、見覚えのある、


 祈りの間


 目の前には、ウンディーネの姿。とても苦しそうな顔をして、崩れ落ちる様に横たわった、と同時に黑の体制が崩れる。

 何事かと、瞬時に飛び立った黑が目にしたのは、スピカが倒れた姿。

 そして、天から落ちる淡い青白い光が二人に降り注ぎ、地面に描かれた波紋に幾重もの花が絡みあった様な模様が青み掛かった強く白い光で輝き出し、天へと光が昇って行く。

 キラキラ、キラキラ輝いて、瞬時、水が氷になる様に二人を囲んで結晶、水晶の様な形で固まった。


 「...これは、一体...」


 神族(テオス)の黑にも理解不能な現象が、今、目の前で起きていた。表情からは読み取れずとも、動揺を隠せない黑は、二人を包み込んだ結晶の周りを旋回している。


 カツン カツン カツン カツン


 足音に気づいた黑は旋回を止め、結晶の頂に止まって、音のする方へと視線を向ける。


 カツン カツン


 結晶の前で足を止めたのは、ニフリート。アンを抱き抱えたまま、黑へと視線を向けてきた。


 「あら、可愛い〜子ちゃん、一人?あなたのお友達、カロはど〜したの?喧嘩でもしたのかしら〜」


 黑は頂からすーと降りてきて、ニフリートの肩に留まるとアンを覗き込む様な体制をとった。


 「...喧嘩はしていない。ただ...多分、ロキに捕まった」


 「...そう...ロキとか言うのには私は会った事がないけど、あの時の一人よね?話は聞いてるわ。...ん〜、クーアがここに居ないってことは、カロと一緒かしら?」


 アンの様子を伺っていた黑は、ニフリートへと視線を移す。


 「多分、と言うしかないけれど」


 「そ、じゃ、お婆婆の予知通りってことね。カロと一緒と仮定するなら、フリークに居るってことになるわね」


 「...だろうね。今の所、特にカロから流れる感情には変化は無さそうだから問題ないとは思うけど。...所で、アンは大丈夫なの?」


 ニフリートはアンへと視線を落とすと、ゆっくりと膝をつけてしゃがみ、地面へと横たえる。


 「いい状態だとは、言えないわね。クーアがこっちへ戻るまで、もってくれればいいけど」


 もう一度、黑はアンへと視線を向けると、肩からスーと飛び降りてアンの心臓辺りで止まった。

 黑はアンの心臓に、自分の額をくっ付けた。

 パァーとアンの心臓部が光り輝く。が、淡い光。

 くっと、黑は口惜しい様な音を漏らす。


 (...駄目か...やっぱり、力が弱い)


 「...暫くは、これで何とかなるとは思うけど...」


 「...これも天命よ。なるようにしか、ならないわ」


 いつもの陽気な感じとは違う、ニフリートの声音。黑は、ニフリートへ自然と視線を向けてしまう。

 そこには、無表情ともとれる顔があった。


 「...ねぇ、ある意味、私達二人きりよね?特別に...教えてもらえないかしら?」


 ニフリートの鋭い視線が、黑を見つめる。


 「......一体、あなた達は、何者なの?」

新章スタートです。

これからシリアスモード全開ですが

今後もお付き合い願えると嬉しいです。

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