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君と私と竜と白と黒  作者: 雨月 そら
廻り始めた運命
13/102

忍び寄る影3

 カロが力なく倒れたと同時、黑が空へと飛び上がると、春の木漏れ日のような暖かで、星屑のようにキラキラと輝く光が、黑に纏うように注がれた。

 光が薄れていけば、黑はスピカ似だが中世的で、ショートの黒髪の金色の瞳をした少女の姿となっていた。

 スピカと並べば、背の高さも殆ど変わらないが、スピカと比べ僅かな胸のせいもあり、双子の、一見兄妹にも見える。それは、同じオフホワイトのナイトケープを纏っているのだが、その下がスピカはダルマティカのようなもので女の子らしいのに対し、黑はカロと全く同じ狩人の服装というのが男の子感を引き立たせたとも言える。

 凍りついたように張り詰めた空気で動けなかった者達は、黑の出現により何らかの作用してか緩和され、緊張が解けて動けるようになっていた。


 「おや?こうしてみると、双子だけあって結構、似てるんだねぇ。えーと、ここでは、黑?だっけ?」


 黑に視線を合わせると、青年はにやっと笑って、話しかけてきた。

 黑は嫌なものを見たかのように、眉間に皺を寄せる。


 「...それで、ロキ、お前は何しにここへきた」


 「会話のキャッチボールはスルーですかぁ、はいはい。だからさぁー、僕の駒を引き取りにきたんだよ。ちゃんと仕事してもらわないとだし」


 「それなら、もう用はないはず。その荷物と一緒に帰ったらいい」


 「それがさぁー」


 ロキがそう言いかけた瞬間、近くにいたアテネがここぞとばかりに思いきり剣を青年に目掛けて振り下ろしていた。

 黑が止めに入る隙もなく、振り下ろされた剣はロキが手をかざすと跡形も無く消え、そのままアテネの身体を軽く押した。

 それだけで、アテネは物凄い勢いで後ろに吹っ飛び、近くの木に大きな音を立ててめり込むほど強打していた。

 無論、アテネは失神してぐったりとしている。


 「ま、死んでなさそうだし、頑丈そうだから大丈夫でしょ。急にくるから、力加減間違えちゃうとこだったよぉー」


 「ロキ!」


 「ちょっ、僕が悪いの?違くない?黑さぁー...ふふ」


 ロキは小さく笑いを漏らすと、ずっと掴んだままに男にフゥーと息を吹きかけた。

 先程まで死んだかのようにぐったりしていた男が急にびくっと電撃が走ったように顔を起こし、その拍子にフードが外れ、黒い墨で描き殴ったような模様が浮かんだ顔と血走った目が露となる。


 「行け」


 周りに聞き取りづらいほどの小さな声でロキが言えば、物凄いスピードでカロがいる方向へ一直線に走り出す。

 黑はカロを守ろうとカロの前へと出る。その判断が、間違っていた。

 男はカクンっと直前で曲がり、あっという間にアンの首を片手で掴んだまま、軽々と持ち上げたのだ。

 黑はアンの方へ振り向くも、カロとスピカのことが気掛かりで、動けない。ふたりに交互に視線を向けてから、再びアンに視線を戻すと、アンの苦しげな表情が目に入り、一歩足を出しかけた。


 「ばーちゃん!!」


 黑が迷っている間、クーアが男の方へ、武器を構えて全力で走り寄っていた。

 男の背中に向けて、武器を掲げ振り下ろした瞬間、

 バキン

と音を立てて、武器の刃は真っ二つに折れてしまう。

 男は蚊でも止まったかのように、受けた肩の部分をポリポリかき、何事かとクーアの方視線を移す。

 ブン

 っと音が鳴ったと思った瞬間、男のもう片方の手がクーアに伸び、顔面を殴り飛ばしていた。

 綺麗に決まったのか、クーアは地面に倒れ込む。

 ピンチの状態に、黑は強く口を噛んだ。

ここまで読んで下さり、ありがとうございありがとうございました。

感謝の気持ちでいっぱいです。

次話もどうぞ、よろしくお願いします。

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