夢か現か
暗闇。
(ここはどこだ??)
淡い光が急に灯る。ゾクっと寒気がする。近づいてはいけない、そう本能的が警告しているように頭がズキズキ痛むカロ。
金縛りにあったように動けず、光はゆっくりと近づいてくる。至近距離、髪の長い女性。顔は髪で隠れて分からないが、片目だけはよく見える。
無感情なその目を知っている、そう思った瞬間、女性の両手が両肩を掴む。込み上げる恐怖で、身体が震え、声も詰まる。
女性の力は強くなって、バランスを崩して倒れそうになった時、地面から黒い手が無数に伸びているのが、横目に入る。
抗えず取り込まれ、落下。はっと夢が覚めたように気づき、頭を抱える両手の隙間から辺りを伺う。
辺りは先程より、ぼんやり明るい。黒い手や女性はいないようで、安堵の溜息が漏れるが、違和感を感じた。
頭から手を離して、両掌を見下ろす。人間の皮膚ではない。
恐る恐る手の甲を見れば、鱗が見えて、顔を触り、身体を触る。
(あの時の竜に、なっているのか。あれは、夢、じゃないのか?)
腹の底から、ゾワっと湧き出る嫌悪感。目から溢れ出る涙は頬を濡らし、天を仰いで、苦痛の悲鳴を上げる。それは、人ではない獣の声。
(俺は、化け物じゃない、化け物じゃない、化け物じゃない!!)
顔を両手で覆い、うずくまる。
「○!○!」
何か呼ばれているような気がするが、よく聞き取れない。
そっとカロに、誰かが触れる。
「大丈夫。君は、化け物じゃない。大丈夫だから、こっちを向いて」
心地よい、優しい声。恐怖聞き覚えがあるが、思い出せない。が、恐怖が薄れてじんわりと温かみを感じる。
その声の主の方へ顔を上げると、カロのおでこにおでこをくっつけてきた。
「よく、思い出して。君は誰?君は、人間で、竜ではない、そうでしょう」
(そう、俺は、竜じゃない。人間だ!)
声の主の瞳に映る、カロは、人間。
視線を下げると、人間の手が見えた。一瞬で呪いが解けたように。
「忘れないで、君は、人間だということを。私は、君の味方で、君の側にいることを」
おでこを離した声の主は、にこっと優しく微笑む。
誰かに似ていた。
スピカをボーイッシュした、中世的な感じにだ。それに、髪は黒くショートで、瞳の色は金色、という違いはある。
スピカではないのに、どこか懐かしく感じ、ふと思う。
「黑?」
ここまで読んで下さり、ありがとうございありがとうございました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
次話もどうぞ、よろしくお願いします。
※プロローグからここまでは、話の構成上、このままでは書きづらく、一人称から三人称に直させて頂いています。すみません。




