木遁のウルト
しばらくは不定期投稿となります。
ある程度ストックがたまったら、日に2回の更新にしたいと思っています。
完全書下ろしで他のサイトには一切掲載しておりません。
ゆる~く楽しんでみていただければ幸いです。
シリウスさんが家をでてから、シリルはぶつぶつ文句をいいつつ薪作りへ。
僕はミハル叔母さんの勧めでこの村にいる生産系の洗礼を持つ人に挨拶へ行くことになった。
このメジハ村には4人の生産系洗礼持ちがいる。
鍛冶の洗礼持ちドルツさん。
木工の洗礼を持ちウルトさんとツツギさん
皮工のスーキさん
それぞれが村人の依頼で色々なものを作ってくれる。
村人用以外でも商人のトルネさんが買い取って他の町で売ってくれたりもするので、
ある意味村の外から収入を得ているという意味で、貴重な4人だ。
まぁ稼ぎという意味では、狩人のマタさんが動物や魔物の素材を取ってくるので
その売り上げが一番大きいのかもしれないが、マタさん曰く「狩人は稼げない。」らしい。
30名ほどの村人しかいないけど、そのうち半数以上が農業を行っていて、
ムギやキャベ、ネブカ、ジャガなどいろいろな作物がやり取りされている。
一応お金でやり取りもしているのだけど、ある意味物々交換がメインとなっている。
シリウス叔父さんはドルツさんと打ち合わせといっていたので、まずはウルトさんにご挨拶。
「こんにちわ~~」
「おう!村長のとこのカイルじゃないか。どうしたんだい?お皿でも壊したのかい?」
ウルトさんはいつも僕の事を気にかけてくれる優しいお兄さんだ。
ツツギさんはマタさんの奥さんなので、実際はこの村の木製品をほとんどウルトさんが作っている。
「え~っと、今日、僕洗礼を受けたんですけど、『陶芸』っていう洗礼でした。」
「おぉぉ、カイルももうそんな歳か~。『陶芸』。。あぁ土系の生産のやつか~~。
良かったな~。てっきりお前は『冒険者になる!』とかいって村から飛び出しそうだったからw」
「はい。一応『ものづくり』系なので、ミハルさんがみんなに挨拶しておいでって」
「なるほどな。生産系はみんなそれぞれの癖があるけど、
最初の頃は色々とうまくは出来ないからな。
色々な職人の作業を見て自分のスキルと比較しながら少しづつ上達していくからな。」
ウルトさんの手には皮むき途中の原木が握られている。
「丁度よかった。今、エントんところのコップを作るところだったから、見て行けよ。
参考になればいいけどな。」
「ありがとうございます。」
ウルトさんは優しく説明しながら作業を進めてくれた。
『木工』の洗礼でできるスキルも『陶芸』と同じく3つだった。
『変形』と『研磨』と『乾燥』
木の皮を剥いだり、形を大まかに作る作業では『変形』を使用して不要な部分を取り除く作業がメインとなるようだ。最後に『研磨』で色々と微調整をしているようだ。
作業の合間合間で『乾燥』を使用して木に含まれる水分量を調節しながら進めていくらしい。
僕はそれを『粘土』に行うのだと思いながら見ていると凄く参考になった。
ものの5分ほどで1個のコップが出来上がった。
「よし!これでだいたい300シリングって感じかなw」
出来上がったコップをポーンと手のひらでお手玉しながらウルトさんは嬉しそうだ。
「凄い!あっという間に出来上がっちゃいましたね。」
「えへへ。凄いだろ~wまぁ最近は村の外に売る分の食器類がメインだが
軽くて使いやすい『木剣』なんかを作れば、多少の魔物なんかとも戦えるな」
「えっウルトさんも魔物と戦ったりするんですか?」
「ははは。そうかカイルは知らないだろうな。
俺は元々冒険者でな。お前んところの親父にこの村に連れてきてもらったのさ。
それで、この村にいたシーンと知り合って、結婚して、今に至るってもんさ」
「へぇ~冒険者やってたんですね。知りませんでした。」
「まぁ『木工』の洗礼も使い方によっちゃ『木魔術』って言われるように、
魔物を縛ったり、棘で相手を攻撃したりもできるからな。要は使いようって訳さ」
足元にあった木片を瞬時に『ランス』のような形に変形して、
ブゥン!と振り回すウルトさんはちょっとカッコよかった。
「ちょっと~家の中で何振り回してるのよ!」
丁度裏口から洗濯物の桶を抱えた奥さんのシーンさんが戻ってきて
何故かウルトさんが怒られていた。
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