僕にできること
しばらくは不定期投稿となります。
ある程度ストックがたまったら、日に2回の更新にしたいと思っています。
完全書下ろしで他のサイトには一切掲載しておりません。
ゆる~く楽しんでみていただければ幸いです。
家に着くとミハル叔母さんがお茶を入れてくれた。
シリルはいつも通り1杯目は一気に飲み干す。
「はいどうぞ。」
「ありがとうミハル。」
シリウスさんはいつも通りゆっくりとお茶を飲む。
「ねえねえ父さん、カイルの洗礼ってどんなものなの?『陶芸』だっけ?」
シリルは僕以上に洗礼の内容に興味津々のようだ。
きっと自分の薪割りを手伝いやすい能力であることを期待しているのだろう。
「ん~父さんも詳しく知っているわけじゃないけど、
昔この村にいたダリル爺さんが確か『陶芸』の洗礼持ちだった気がする。」
「今あなたが持っているコップなんかを土で作れる洗礼だった気がするわ」
「えっ?これって木じゃん。土で作るってどういう事?土で木を作る??」
家族みんなの手には木でできたコップが握られている。
この村でコップや食器などはほとんど木でできている。
この村で『木工』の洗礼を持っているウルトさんとツツギさんが作ってくれる。
ちなみにツツギさんは狩人のマタギさんの奥さんだ。
「ん~なんていうか、ほら、あそこにある水がめがあるだろう。
あんな感じのものを『陶器』っていうんだが、確かあれを作れる洗礼だったはずだ。
確かあの水瓶もダリル爺さんがつくったものだよ。」
「洗礼後は何となくスキルの使い方が分かるはずだから、カイルはもう何ができるか分かるんじゃない?」
シリルが興味津々に僕をのぞき込んでくる。
「あっうん。何となくコップやお皿の作り方はわかるようになってるよ。」
「おぉそうか。じゃあ明日からでもいいから何が作れるのか作ってみてくれ。
次にトルネさんが来た時に売り物になるか相談してみよう。」
シリウスさんもニコニコしながら僕の洗礼を喜んでくれている。
僕の頭の中では明確に何ができるかが浮かんでいる。
昨日見た「酒井田次郎」さんの物語にも一致しているので、
僕が「陶器」を作れることは間違えない。
僕の洗礼『陶芸』にできることは3つ。
ひとつは『変性』。
これは土を陶芸に向いた『粘土』や『釉薬』に変性することができる。
ふたつ目が『変形』
これは『粘土』を思い通りの形にすることができるようだ。
みっつ目が『調整』
これは『粘土』の水分を抜いたり焼き上げたりするために温度や湿度を調節できるようだ。
シリルの『剛力』のように汎用的な割に強力なものと違って、
ある意味土に特化した洗礼のようだ。
「えーーっ、じゃあもうカイルにお手伝い頼んじゃだめなの~~!」
シリルはかなりがっかりしているようだ。
自分が楽できると思っていたんじゃないだろうか。
「まぁシリルったら、貴方の薪はみんな喜んでくれるんだから、貴方ができる範囲でいいのよ。
カイルも折角生産系の洗礼をもらったんだから、色々やってみるといいわよ。」
ミハル叔母さんはいつも優しい。僕のお母さんもミハル叔母にたいな感じだったのかな。
「さてと、昼からは共同トイレのスライム減らしの件でドルツのところにいくんだった。
お昼ご飯は帰ってきてから食べるよ。」
「いってらっしゃい。今日のお昼はポトフとブレットにしようかしら。
晩御飯は洗礼祝いもあるから燻製肉をいただいてこようかしら。」
「そうだな。おれからマタには伝えておくよ。今夜はお祝いだ。」
「わーい!私鹿肉のソーセージ食べたーい!」
みんながお祝いしてくれるだけで凄くうれしい気持ちになる。
この村で僕ができることが増えたようで凄くうれしかった。
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