村での暮らしはほのぼの
かな~り久しぶりの投稿です。
しばらくは不定期投稿となります。
ある程度ストックがたまったら、日に2回の更新にしたいと思っています。
完全書下ろしで他のサイトには一切掲載しておりません。
ゆる~く楽しんでみていただければ幸いです。
しかたなくシリルのお手伝いをする。
今日のお手伝いは『薪割り』。
俺はシリルが割った薪を薪棚まで運ぶお手伝いをする。
「そういえば明日、神父さんが村に到着するらしいよ~」
手で丸太を引き裂きながらシリルは暢気に話している。
うん。怖い。あれを頭に食らったらパッカーンってなる。
「そっそうなんだ。」
「あれ?嬉しくないの?カイルは今年が洗礼じゃなかったっけ?」
「うん。今年は今年なんだけど、嬉しいかといわれれば複雑だな~」
「ふ~ん。私の時なんかは前日からワクワクしてたもんだけどなぁ~」
この村はまぁいわゆる辺境といわれる場所にある。
神父さんは年に1,2度。商人さんは月に1度くらいやってくる。
今の村長さんのお父さんが、領主さまから開墾を命じられてこの地に来たらしい。
基本的には自給自足。食べ物は畑で取れるけど塩や布なんかは商人さんから買っている。
たまに狩人のマタさんが狩った獲物を売ったり、網籠や木工品なんかで生計を立てている。
シリルの洗礼が『剛力』と分かってからは、この村の薪はほとんどシリルが作っている。
1本20シリング(1シリング=1円くらい)。
シリルはいつか王都に行きたいらしく、頑張ってお金をためているらしい。
「シリル~~!カイル~~~!お昼よ~~~」
家の方からミハル叔母さんが声をかけてくれた。
これでやっと薪運びから解放される。
「は~~~い!今行く~~~!」
シリルは決してご飯の時間に遅れたりしないから。
--------------------------------------------
シリルはいつもお昼寝をするので、午後からは僕の自由時間になる。
最近は村長の家の裏にある祠周辺で『土いじり』をしている。
『土いじり』してると、なんか落ち着くんだよな~。
「ん?」
祠の扉が少し開いている。
この祠は先代の村長さんが開墾を始める際に、高名な神官の方に来ていただいて聖魔法で『祝福』をかけてもらったものらしい。
これがあることで、村に魔物が近寄りづらくなっているらしい。
(そういえば祠の中身って何が入ってるんだろう?みたことないな。)
何となく少しビビリながら祠に近づいてみる。
かなり古い祠なので下手に触って壊しでもしたら、相当怒られる。
[そ~~~っと]
祠の中には何か丸い玉のようなものが収められているようだ。
(玉??なんだろう)
ちょうど子供の手が入るくらい扉が開いているので、手を伸ばせばその玉に触れられそうだ。
好奇心が手を伸ばさせている。
壊さないように慎重にゆっくりと玉に触れる。
指が玉に触れたとたん、
[バシュー!]
体中に稲妻が走ったように感じた。
本当に一瞬の出来事。
僕の頭の中にははっきりと「酒井田次郎」という男の人の一生が焼き付いている。
ここではないどこか、全く違う世界で、
土から器や壺、セラミック?包丁など、色々なものを作り出している人。
「なん、何だったんだろう?」
ただ茫然とその場に尻もちをついてしまった。
開いていたと思っていた祠は閉まっている。
(あれ?祠開いてなかったっけ?えっ???)
「カイル~~洗濯物干すの手伝って~~」
ミハル叔母さんからのお手伝い依頼だ。行かなきゃ。
服についた土を払い落しながら、家の方へを戻った。
なんか不思議な感覚だった。
ここではないどこかで必死に土の事を考えて、色々なものが作れないかを考える一生。
いいものが出来上がったと思ったら、何となくまだ納得できない。
「もっとこうすれば!」が次々と湧き出して、でもなかなかうまくいかなくて。
そんな「酒井田次郎」という人の物語を一気に読み切った感じだ。
その日は、なんだか疲れてしまい、晩御飯の後すぐに眠りに落ちてしまった。
※ すっご~く大切なお知らせ ※
「面白いかもしれない。だぶん」
「続きが少し気になる。たぶん」
「応援してもいいかも。たぶん」
と思ったら下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援していただけると嬉しいです。
ブックマークもいただけたら作者のやる気につながります。
どうぞよろしくお願いいたします。