カタツムリ協奏曲 序
わたしカタツムリはツイッターに投稿した。
カエルは実は綿菓子でできていると
その誹謗中傷に激怒したホーミングフォックスは戦争を決意した。なぜなら誹謗というのは許されることではないからだ。
敵と戦うためには武器がいる。ホーミングフォックスはガトリング銃を手にいれた。カタツムリに宣戦布告すると、カタツムリは言った。
「うちかて、生きづらさ抱えていきてんねん。あんたと一緒にせんといて」
ホーミングフォックスは、鏡で自分の姿を見て、自分がギャンブルカタツムリであることに気づいた。
「ちっくしょう! 騙しやがって!」
二人は結託して、カエルを殺しに行った。
綿菓子でできているので、容易かった。
米米米
それは、わたしが爆血カタツムリになる4年も前の話。
「わたしは、カタツムリになるよ、親には反対をされたけど」
触覚ほころばせ、微笑を口のふちに浮かべる。そう言ってもみなやれやれと言わんばかりに力なく笑い、微かに肩をすぼめていた。もう何を言っても無駄と悟っているのだろうか誰もやめておいたら、という言葉を投げかけてくることはないのだった。
「親カタツムリには、楽をさせてやりたいな」
数年も前に疫病によって命を落としている母は、天国からわたしを見守っている。父は男手ひとつで、わたしカタツムリを育てて、高い学費を出しカタツムリの学院に通わせてもらっている。
己に爆血カタツムリの才能があると分かっていたものの、家計を考えて学院に通う気などなかったのだった。
しかし、父カタツムリは言ったんだ。遠慮するなよと。だからわたしカタツムリは6年間、カタツムリ学院に通いそして仲間にも恵まれたのだった。
「宮廷カタツムリは、ギャンブルだよ」
真っ黒な皮膚をもつギャンブルカタツムリは黒曜石を思わせる深黒の瞳でわたしカタツムリを見つめていた。
その言葉に、わたしカタツムリは目を伏せる。
「本当はみんなでギャップカタツムリにって思ってたけど、ギャップは安定してないからなあ」
ボビーに似たカタツムリ、つまりボブカタツムリは何処か寂しそうに、言葉をつむいでいく。
「わたしカタツムリが入ってくれれば、カタツムリ学院始まって以来の最強パーティーだってばよ」
そんな彼らのやり取りを微笑ましく感じていたカタツムリに、声がかかった。
「でもね、わたしカタツムリちゃん、これだけは覚えておいてよ。虐殺はちゃんとやらないと、復讐されちゃうからね」
声の主は、ボビーオロゴンカタツムリだった。ボビーオロゴンカタツムリはボビーオロゴンカタツムリであるためにわたしに声をかけた。
「それと、これだけは覚えておいてね、私たちはいつも一緒だよ」
その声はわたしの耳に入る前にそばにいたギャンブルカタツムリの耳に入ってしまっていた。彼はじっとわたしカタツムリを見つめ、慟哭した。