表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無題  作者: 雅号 語らず
5/6

第4話

え?更新が遅れてるって?

やだなぁ……ソンナコトアルワケナイジャナイデスカ。

 俺の寮は学園から数キロほど離れた場所にある。と言っても車を使えるので、10分もあれば着く距離だ。

 まぁ寮と言っても他の生徒とは違う一軒家の屋敷だが。完全に孤立した大きな御屋敷だ。

 恥晒しとはいえ、これ位の事をしてくれるのは周りにパイロクロア家の権力と財力等を示したいとか言うものだ。実にくだらないと思う。


「……はぁ、クローキスとかは学園にあるホテルにでも泊まっているんだろうな。羨ましい事で。」


 車を車庫に入れると、屋敷の中へ入る。外から見たら立派だったが、中身は酷い。埃がそこら中にあり、掃除も手入れもされてないようだ。


「あーあ…ミリアがいれば楽なんだけどなぁ。」


 あまり掃除は好きでは無いので、制服等や私物を車に詰め込む。この車は2人乗りで後ろに少しのスペースがあるので、必要物だけ載せればあまり問題は無いと思う。

 そして屋敷に運ばれていた塗装道具を取り出して、キズを隠すように塗り直す。

 その後、制服に着替えていると既に8時をすぎていた。


「パンフパンフっと……あ、9時からか。ならそろそろ向かおうかな。」


 車に乗ろうとすると、屋敷の外から視線を感じる。というか入口に人影が見える。


「……そこの人、何用だ?」


 声をかけてみたが無視をされたようなので、多分野次馬だろう。気にせずに車に乗って、屋敷から出る。目を合わせると気まずいので、顔を別の方向に向けて家を出る。


 そうして学園に着く。朝も来たので、警備員の人は顔パスで通してくれた。その上、敬礼までされたので、パイロクロア家という名は凄いのだとよく分かる。

 車を止めて、キーを持っていこうとすると校内放送が聞こえてくる。耳を傾ければ、知っている人のだと言うのが直ぐにわかった。


『もう一度言います。あと20分以内に入学式を始めます。出来るだけ早く第2校庭に集まってください……以上。生徒会長、セシリア・パイロクロアでした。」


 セシリア・パイロクロア……エクレアはあまり言わないので、この言い方が正しい。まぁ貴族は見栄を張るためにフルネームで言うが、セシリア姉さんは気にしないタイプだ。真面目で勤勉、成績優秀な八方美人……とまぁ言われてはいる。だが弟の身としては言い辛いのだが……あまり良くない意味でオーグ教授の血が濃く出ている1人でもある。


「……はぁ、会いたいけど今はどうしているんだろ。」


 セシリア姉さんは歳は5つ上なのだが、13という歳にして生徒会長を務める。基本的に生徒会長の枠はこの世界での成人、つまりは15歳以上のはずだ。それなのに2年早く務めてるのを見れば、会って下手なことをしてはいけない気もする。


「……そこの子も早く!入学式が始まるよ!」

「あ、 はい!」


 教員に話しかけられて、慌てて第2校庭へ向かう。周りのみんなは身体強化魔法で向かっている分、俺の何倍も早い。

 なんだか、どこでもドアが欲しいと願っていた小・中学生時代を思い出す。あの頃はよくそうしていた。高校や大学からは遠かった分早く行ってたのでそんなに感じはしなかったが、改めて考えると面倒臭い。


 第2校庭に向かって歩いていくと、他の生徒もいる。というか制服でいる人少ないな。

 まぁ指定の制服はあまり良いものでは無い。それにこの学園自体が、一種の大学なので問題はないのだと思う。


「……っと席はここだな。」


 俺の席は普通の生徒とは違い、かなり前の方だった。多分貴族様って事で結構前なのだろう。前に歩いていこうとすると、周りの生徒から見つめられる。なんだか恥ずかしい。

 というか校庭とは名ばかりで、講堂のような形をしている。まぁこれもそういった場で戦い合うために作られているのだろうが。


「……パイロクロア家のガキか」


 悪口が聞こえて振り向けば同じ位の生徒がいた。意外と声が大きく周りに聞こえたが、年上の生徒達からも視線を集める。だがその殆どが良い視線ではなく、まるで親の仇を睨むような感じと恐怖しているような感じだ。見世物のような視線よりはマシと思ってしまうのは、前世で引きこもりだったのが原因かもしれない。


 というかパイロクロア家はそんな乱暴な家じゃなかったと思っていたが、実際は違うのかもしれない。

 少し気をつけないと、靴の中に画鋲を入れられたり、バケツたっぷりの水をかけられたりしそうだ。下手すれば後ろからナイフでブスりなんてのもありそうで怖い。


「何してんだ。直ぐに始まるぞ。」


 先生が仲介に入ったことで、遠目で見ていた生徒らは顔を逸らしていく。何があったのかは分からないが、思っていた以上に大変かもしれない。

 歩いて席に向かおうとすれば、途中で他の生徒が足をかけようとしてくる。あまり暴力は好きではないが、1度くらいは締めておいた方がいいかもしれない。そう考えて、足をかけようとしたその足首を踏み込む。

 そして何事もないかのように靴で踏みつけ続ける。


「ぐっ……」

「……あんま舐めんな。」


 それだけ小声で言うと、そのまま自分の席に着席する。俺の席は五大貴族なだけあって1番前だ。少し待っていれば生徒会や先生方らが集まっていく。


「……私はセシリア・パイロクロアです。生徒会長をやっていますが、気にせずに話していきます。この学園では学ぼうとした事は全て学べると考えて良いです。なので気になることがあれば先生方に遠慮せずに聞いてください。」


 セシリア姉さんは結構真面目なようで説明を続けていく。正直、欠伸がでそうになるが姉の前なので自重しておく。そして話を左から右に流していると終わったようだ。


「最後に、入学おめでとうございます。貴方達が知識を蓄えて、自分の気に入る道を探して見つけ、その道に進むことを願っています。」


 真面目過ぎると思いつつも、目を合わせないように目線を先生方の方に向ける。セシリア姉さんと顔を合わせるのは何となくいけない気がする。

 そうしていると先生の説明が始まった。あまり面白くはないし、いざとなればクローキスやセシリア姉さんに聞けばいいのでとりあえず無視しておく。


「クラスの説明をしていく。」


 先生の言葉に耳を傾ける。流石に自分のクラスまで分からないとなると、聞くのが面倒い。流石に身分的には怒られないだろうが、体裁的な問題もある。


 聞いていれば、どうやら俺のクラスはAとの事。

 結構ランダムに組み合わされているらしく、貴族から普通の人まで全員揃っていた。この方がクラスメイトと関わりやすいので有難い。

 前世からの癖なのだが、あまり敬意を払われるのが苦手で、逆に緊張してしまう。それに腹の黒さを見抜くのが苦手なので、こうしてくれると素直に楽しめそうだ。


 出来れば優しくて同じような事に興味を持つ生徒がいたら嬉しい。そんな事を考えながらクラスメイトの名前を聞くことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ