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無題  作者: 雅号 語らず
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第1話

どんどんあげます〜

 地球では無いどこか別の世界にあるとある国。名をアバランシュ王国と言った。そのアバランシュ王国、近隣のアトラス樹海。そこでは幾度となく魔物と人の殺し合いが続いていた。

 人は意志を持つ機械と共に剣を持って魔物を殺し、魔物は人を食らって更に大きく成長を続ける。


 アバランシュ王国の王都、そこには五大貴族と呼ばれる家系がいた。その一角を貴族の子として俺こと、ティルアス・エクレア・パイロクロアは新しい人生を貰えたらしい。


 俺には兄が2人、姉が1人居る。兄はイシュア、クローキスの2人で、姉はセシリアって名前なんだとか。実際にあったことはほぼない。

 今、俺は大体8歳くらいだ。それでやっと前世の記憶を完全に取り戻せたが……まだ理解ができてなかったりする。


「ティル様!まだ起きてから5日ですよ!」


 面倒なやつが来た。この世界での医者的な人なのだが、口煩いので無視をすることもしばしば。


「あのですね、ティル様は死にかけたんです。ゆっくりとベッドでお休み下さい。」


 前世の記憶を取り戻す弊害なのか、俺は1週間ほど寝続けていたらしい。しかも脈が限りなく低くなったとかで、生と死の間をさ迷ったそう。

 まぁたったそれだけで前世の記憶を取り戻せたのなら、ラッキーとも思える。


 前世の記憶を思い出して気付いたが、俺は親からは期待もされていないと思われる。兄や姉は個人的には優しくしてくれるが、親の前では憐れむだけで助けてくれない。


 5歳位の時に説明もせずに親から「お前は落ちこぼれだ。迷惑だけはかけてくれるな。」とだけ言われたっきり、親らしい行動は一切してくれない。


 だが祖父母や叔父や叔母にはかなり愛されているようで、今までもかなりいいものを貰っていた。それも前世で銀座に行っても見れるか定かではないものを沢山。


「……また外出ていい?」

「ティル様……」


 俺の言葉に、俺専属の従者らしき人達は頷く。医者的な人は諦めたかのように、従者と話している。


 この世界、あんまいい物がないように見せている。だが実際は少し違う。かなり面白くて俺向きのものが一つだけある。


 窓を開けて外を見れば、機械で組み立てられた鳥が荷物を運んだりして働いている。しかも意思があるようで、街の人を見ながら声を上げたりして自由に滑空していた。


「……俺も早くあれを作りたいな。」


 この世界では人が機械を組み立てて、そこから意思のある機械を作り、ロボットのように動かせるらしい。それに加えて、この世界には車も存在する。

 それを聞いたら、俺が作りたいものは一つ。某映画のトラ〇スフォーマーだ。前世からカマロを使っていたので、作りたくなってたまらない。


「……ミリア、頼んでいたものは大丈夫?」

「勿論です。ちゃんと御用意してありますが、よろしいのですか?」


 ミリアはメイド的存在で、親からの命令を無視してでも俺に従う事を頼まれている人だ。兄のクローキスが俺の6歳の誕生日くれたプレゼント代わりの人で、分からないことがあったら聞くようにと言われた。


「……うん、俺もあれを作るんだ。」

「分かりました。協力させてもらいます。」


 頼んでいたものはスクラップやゴミ扱いされてるようなものだが、車の部品だったりする。この5日間はこっそり抜け出しては、探しては個人部屋に運んでもらっていた。

 ミリアはかなり優秀なようで、「スクラップやジャンクを見つけてこい。車に似た部品なら尚いい。」と伝えたら、どんな部品かを絵に書いて渡してくれた。そのおかげで車なら結構簡単に作れそうな位の部品は集まった。


 俺は嬉しくて楽しそうに部屋に向かおうとするが、途中であまり会いたくない人を見つけてしまう。


「おはようございます。父上。」


 そう、両親だ。前世でも中々見ない、良い性格をしている2人だが、あまり好きになれない。前世の両親からは腫れ物を見る目をされていたが、こっちの両親は更に酷い。ゴミを見るような目をしてきて、正直話すのも嫌いだ。


「……ああ、ティルアス。」


 父親はそれだけ言うと立ち去り、母親に至っては完全無視で歩いていってしまった。これがいつもの日常だ。少なくとも病み上がりの息子にかける言葉では無いのは確かだ。

 気にしてもあまり意味が無いので、俺の個人部屋に入っていく。


「……ティル様。そういえば来週から学園ですが、準備はいかが致しましょうか?」


 そう言えば学園があった。この世界では8歳から最低でも5年。長ければ10年以上も行かなくてはいけない学園がある。


 前世であまりいい思い出はないからか、行きたくない。だがとある知り合いや兄や姉が居るので行ってみたいという気持ちも無くはない。


「……準備はよろしく頼む。俺は来週までに作り上げて、寮へ持っていくからな。」

「既にCサイズの持ち物を寮に運ぶ手筈は整えておりますので、ごゆっくりお作りになってください。」


 やはり優秀だ。作るサイズを理解して用意してくれている。因みにCサイズというのは軽トラックの車両2台分を表す。多分車と俺の私物を纏めたらその位にはなると踏んでのことだろう。


「……なら作るか。」


 スクラップやジャンクを見て驚く。俺の個人部屋は兄のお下がり的な部屋ではあるが、80畳位はあると思う。その上、庭につながっており壁の窓ガラスを外せば車で外に出ることも出来る。

 イシュアも車好きだったらしいし、多分その繋がりでこういう仕組みになっているんだと思う。


 しかも窓ガラスは外から見ても、中は見えないという力を帯びているらしい。かなり珍しい鉱石で作られているのだと思われる。


「……溶接道具あったかな。」

「これをどうぞ。お気をつけて。」


 ミリアから溶接道具を受け取ると、部品と部品を接合させていく。

 部品の劣化が激しかったり、足りない部分が多くて変形する時がかなり難しそうだ。ただラッキーな事にタイヤは存在してるので、作るのは難しそうじゃなかった。車の部品やフレームもあるので、あと数日頑張れば作りきれると思う。

 日数計算と、紙に設計図を雑に書きながら作り上げていくことにした。

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