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終末幼女  作者: どくいも
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初心者でも楽しめて、ファンでも楽しめるクトゥルフ物を書きたいという気持ちで書きました


【報告書】

 営業四課 畑生 次郎


 ・有機肥料【宇宙からの色】販売動向調査報告


 1・実施月日

 2073年4月1日〜10月1日

 2・実施地域

 関東圏第一区画

 3・売れ行き状況

 本年度4月の調査開始から、緩やかな売り上げ低下を確認し、生産ラインの縮小をした。ここに来てようやく販売数の低下は無くなったが、それでも依然横這いを続けているのが現状だ(数値は別紙参照)。本地域の販売店での回答も肥料の購入割合は前年の7割ほどまでに低下したという。

 4・見解

 【宇宙の色】の売り上げの低下は、世界的な【アーカム病】の蔓延及び【農作物の食感の悪化】との関係性が大方の見解である。しかし、本社の科学的検証及び統計学的調査(別紙参照)により、本製品と作物の不作は無関係であるという結果が出ている。以後はこのデータを関係各社により広く広まるよう邁進するべきである。



 ◆



 ──世界が滅んで、幼女が生まれた。


 さて、事の始まりは今から数年前、世界各地で起きたゾンビ大量発生であった。

 当初はこんな騒動、一過性のものであり、ゾンビも質の悪い感染症の一種だと考えられていた。

 だからこそ、世界中の多くの人がこんな騒動すぐに終わるであろうと思っており、私も例外ではなかった。

 近所でゾンビが発生した時も自分は慌てるでもなく非難するでもなく、ただ自宅待機を続け、合法的に休めることを喜び、趣味に没頭していたものだ。


 ──しかし、その考えは甘すぎた。


 ゾンビ大量発生から数年、ゾンビ化に対する治療は発見されず、被害は大きくなるばかり。

 各国政府は自国の権威のために、互いに互いを感染源と罵り合い、戦争を始め、地球全土に核とミサイルの火柱が上がる。

 この頃になると、当然私含めた一般人もその世界の終わりに否応がなく巻き込まれ、外はゾンビで溢れ、逃げることさえできなくなってきた。

 食料は枯渇し、報道も支離滅裂、ついには避難所である自衛隊の駐屯地でさえゾンビが大量発生したそうだ。

 そんなニュースを最後にまともな報道はただ一つも流れなくなった。


 ──かくして、世界は滅びた。


 全てのライフラインが止められ、ネットに電話も通じなくなった。

 更には外はゾンビが溢れ、脱出すらできなくなった時点で、私目線ではこの世界は滅んでしまったと言ってもいいのだろう。


 ──しかし、それでも私は生き残っていた。


 水も電気も保存食もない死の縁に来た時、私はそのまま死ぬことも、ましてやゾンビの仲間入りすることもなかった。

 何故か、私は(元男から)黒髪の女児へと変化していた。


 ──老いもせず、死にもせず、餓死に脱水すらしない。

 ──人の理を外れた【人外幼女】


 そんな存在になってなお、私はこの世界で生き続ける。

 それが今の私の日常、崩壊前共崩壊後とも変わらない、日々の営みであった。

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