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揚げパン

 

あむ


 空腹に耐えきれず行きつけのスーパーで半額になってた惣菜パンをかじりながら、アンドレアスはブラッキーに座りもぐもぐと咀嚼していた。

 どこのスーパーにも売ってるような袋パンだ。一口では具に辿り着けない、油の回った揚げパン。二口目をかじると、ハムとトロリとしたチーズに辿り着く。

 一つ食べるのにも飽きるような大味。なのにそこそこ大きくて、そう美味しいものでもない。

 大口でさっさと食べ終えると、ペットボトルの蓋をきゅいと回して煽り、パンを流し込んだ。


「ふぅ……」


 息を吐いて手元に目を落とす。ビニール袋に入っているのは半額シールの貼られた揚げ物。油の回ってる、全て食べ終えたら胃に凭れそうな代物。

 それでも買ってしまうのが、揚げ物の業の深いところだ。

 パンの入っていた袋を小さく丸めて近くにあったゴミ箱に捨てる。空を見るとうっすら月が浮かんでいる。


「……帰ろうか」


 ブラッキーに頬擦りして跨がる。一匹と一人は軽やかに山道を駆けていった。

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