ピザトースト?
「お腹すいた」
明日が休みだからと夜更かしをして、いざ寝ようかとすれば酷い空腹に気付く。そのまま寝てしまえばいいものなのだが、思い立ったが吉日とばかりにアンドレアスは食パンを取り出した。
トーストにするのか確定。問題は何を塗るかだ。バターだけだと物足りない。砂糖とシナモンを掛けるのも美味しいのだが、今は甘いものの気分でない。マヨネーズと目玉焼きを乗せるのも好きだが、卵を焼くのがめんどくさい。
「ピザトにしよ」
ケチャップとチーズを乗せて焼く手抜きピザトースト。しかも今日はとろけるチーズでなく粉チーズだ。貧乏性な為スライスチーズはちょっぴりお高く(彼女の中で一パック二百円は高級の部類らしい)、小腹を満たす為だけに使うのは少々罪悪感があるらしい。食費は自分も出してるとはいえ柚月が買ってきたものというのもあるだろう。その点、粉チーズはお昼ご飯のミートソーススパに掛けるため自分の小遣いで買ったものだ。
たっぷりのケチャップをスプーンで塗り広げ、そこに容赦なく粉チーズを振り掛ける。自分で買ったと言う免罪符を掲げながらパンからこぼれないよう、たっぷり振り掛ける。
そしてレンジに入れてタイマーを掛けてスイッチを入れた。
ピピピピ ピピピピ
寝る支度をしてるとあっという間にタイマーが鳴る。扉を開けると、ケチャップを塗ったせいかトーストの下側だけが縮んでいた。粉チーズは溶けることなく(密かに期待してたので少し残念だ)、一部きつね色の焦げ目が付いている。
フォークで突き刺して引き寄せ、手に取ってかじりつく。粉チーズの香りが強い。ケチャップをたっぷり塗ったせいかいまいち粉チーズの味はわからなかったがそそられる香りのお陰で十分合格点だった。
(ちょっと味濃かったかな)
口の端についたケチャップを舐め取り、コップに注いだ水で口に残る塩味を流し込む。
コンタクトを外し、歯を磨き、部屋の電気を消しながら柚月の寝ている寝室に入る。そして柚月の隣に潜り込んで引っ付くと目を閉じて寝た。