椿7
R15は、突然に♪
「・・・あっ。」
つばきは、甘い吐息と一緒に、我慢していた声がこぼれた。
頬は、少し赤く、艶やかな唇から、甘い吐息が、何度も何度も漏れる。
「・・・んっ・・あ・・・ダメ・・・。」
つばきは、制止する。甘い甘い声で・・・。
「あかんの?気持ちええやろ?」
青西優人が、セクシーな声で、つばきに聞く。
「はあっ・・・。そうだけど・・・そこは・・・ちょっと・・・痛い。」
青西優人は、つばきの声を聞いて、少し、考えてから、ささやく。
「・・・もう少し、我慢してくれたら、気持ちようなんで。」
つばきは、首を横に振る。
少し、涙目になっているのは、気のせいだろうか?
青西優人は、つばを、ゴクリと飲み込む。
もう少しいじめたいような気もするし、もう少し優しくしてあげたいような気にもなる。
クールなつばきの仮面を剝がすのは、楽しい。
しかも、自分しか知らない顔をみるのは、こんなにも興奮するものなのかと思う。
独占欲。
彼には、初めて感じた気持ちだった。
つばきも、青西優人の、きれいな指先に、翻弄されていたが、不思議と嫌ではなかった。久しぶりの快感を、味わっていた。
そんな二人は、肌と肌を重ねて、熱い夜を過ごした・・・。
と、言いたいが、重ねたのは、肌といっても・・・手と指先だ・・・。
たまに、腕にのびるくらいだ。
何を言っている?
と、言われそうだが、二人は、裸ではない。
青西優人も、つばきも、服を着ているし、乱れもない。
場所も、ベットの上でもない。
照明は、暗めだが、一糸まとわず語るには、明るすぎる。
そう、ここは、大衆居酒屋。
安さが売りな居酒屋である。
庶民的で、サラリーマンが好む場所だ。
じゃあ、なぜ二人は、甘い声を出し合っていたかというと、手のマッサージをしていたからだ。
青西優人が、つばきの白くて、少し荒れた手を優しくマッサージをしていたのだ。
結局、つばきは、青西優人の誘いには断れず、飲みに来た。
お互いの家族関係やカフェで働いているいきさつなどをはじめ、たわいのない話をしていた。
その中で、肩こりがひどい話をつばきがしたら、手のマッサージが良いという話になった。話にくいついたつばきは、青西優人に、またしても押し切られ、マッサージをしてもらうことになったのだ。それが、思ったほど気持ちよかったというわけだ。
「つばき、気持ちよかったやろ?また、やったるね。」
青西優人は、笑顔で言う。
「だから・・・。下の名前は・・・やめて下さい。」
「なんで?つばきも、うちのこと、優人って、呼べばええで。」
ああ・・・。
チャラい・・・。
しかも、さっきから、青西優人の笑顔が、キラキラしてるからか、逆らえない。
京都弁。この笑顔。なんだか・・・私、弱くなってる?!
お酒の力だろうか・・・。
こんな軽い男に、押し切られている自分が、許せない。
でも・・・でも・・・。
青西優人の京都弁、異常に、ときめくのよね・・・。
つばきは、抵抗したが、結局、二人きりの時は、お互い、下の名前で呼び合うことを、約束されてしまった。
4時からスタートした飲みは、7時すぎに、お開きになり、最寄駅に、二人で、向かった。
並んで歩きながら、試しで、下の名前を呼んで欲しいと言われ、つばきは、困惑した。
とりあえず、約束したが、実行する気はなかったからだ。
「ほら、早う!」と、青西優人は、急かす。
酔っているせいか、なぜかかわいいと思えてくるつばき。
仕方なく・・・。
「ゆ・・・優人さん。」
と、つぶやく。
「うーん。さんは、いらへんな。」
と、突っ込まれる。更に、急かされる。
その青西優人の態度が、物凄くかわいく感じて、つばきは、折れた。
とびっきりの笑顔を、添えて・・・。
「優人!」
つばきは、そのあとの出来事に、思考回路がついていかなかった。
身体を引き寄せられたあと、少し半開きのままの唇に、熱いものが、押し当てられた。
それが、キスだと理解する前に、歯をこじ開けるよに、何かが侵入した。
熱い、ぬるっとしたものが、つばきの敏感なところにあたる。
「あっ・・・。」
色っぽい声が漏れた。
青西優人の、手に力が入る。
同時に、引き寄せられた身体が、彼に密着する。
つばきは、彼の舌に翻弄される。
それが、嫌ではなく、むしろ・・・・。
気持ちがいい!
もっと感じたい!
頭ではなく、本能で感じたつばき。
自分から、彼の首の後ろに手をまわした。
つばきの艶やかな声と甘い音をさせながら、二人は、深いキスに溺れた。
人通りの少ない薄暗い小道。
人知れず、甘い時間を楽しんだ。
読んで下さって、ありがとうございます。