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美しい花には秘密がある  作者: 美月すず
第一章 長女 つばき編
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椿3

つばきが帰った後、青西優人あおにしゆうとは、彼女の使った食器類を下げる。

キッチンへ持って行く。

使い終わったコーヒーカップや皿が、たまっていることに気づく。

洗おうとした時、店長の小梶こかじの声がする。

「さっきの女性、綺麗やったね。」

振り向くと、何か言いたげそうな顔をしている。

「そうやなあ。仕事やと、クールなんやけど、意外な面見れたな・・・。」

優人ゆうと早いな!連絡先、渡しとったやろう。」


!!!


青西優人あおにしゆうとは、洗いかけのコーヒーカップを思わず、落としそうになる。


???

どこで、見られた?

さりげのう渡したし。

おっきな声もだしてへん。

キッチンから、見えたのか?



青西優人あおにしゆうとは、平静を保とうと、息を吐く。

「バレてへん思うたのか?まあ、優人ゆうとにしては、ええ心がけだ。」

再度、息を吐く。

「そないなんちゃうで。仕事とプライベートのギャップに、ちょいだけ、かわいく思えただけ。」

目の下あたりが、赤くなっている。

その姿を見て、ニヤニヤしながら、小梶こかじ店長は、言葉を続ける。

「かわいくね・・・。職場一緒なら、アプローチもしやすいさかい、ええんちゃう?」

青西優人あおにしゆうとは、普段通りの顔をしながら言った。

「勘違いせんといてや。もともと、あないな美人すぎる奴、興味あらへんで。」

そう、彼は、美人すぎる女性は、タイプでない。頭の良すぎる女性もタイプでない。

良すぎるのではなく、ほどほどで、良いのだ。

少しハデな美人でいいのだ。

つばきほどの美人だと、最初から、ターゲットから外れるのである。

だから、ちょっとかわいく見えただけで、ちょっと気になっただけで、連絡先を渡しただけだ。

決して、好意をもったのではなく、ちょっとかわいいと思っただけだと、言いたいのだ。

かわいいと思っただけで、十分、好意を持ったことになるのだが、まだ、彼は、気づいていない。


「そうやなあ。左手の薬指には、指輪は、なかったさかい、独身?やけど、彼女、相手いんでなあ。(相手いるよね。)あれだけの、美人だしね。」


青西優人あおにしゆうとは、急に、押し黙った。

何かを思い出している。

「相手?」「聞いたことがある気がするが・・・」と、ブツブツ言っている。

小梶こかじ店長は、それを見守っている。

店内の様子もうかがいながら。

さすが、店長である。

青西優人あおにしゆうとも、頭を使いながらも、手は、しっかり動かしている。

食器類を、洗い終わり、手をふき始めたころ、小さく声をあげる。

「あっ、失恋や。」

小梶こかじ店長は、その声を聞き逃さなかった。

「なんで?」

と、すかさず、聞く。

「大物・・・。相手、大物すぎる・・・。あかん。」

「は?・・・彼女の付き合うてん人、大物?間違いあらへん?」

興味がないと言い切ったはずが、しっかり興味を持っていたことには、本人は気づかず、うなだれている。

間違いないかと?聞かれて、何テンポか後に、返事をする大西優人おおにしゆうと

「たぶん・・・。あんまり、中大路なかおおじ先生と関わったことあらへんさかい、自信あらへんけど・・・」

はぁ。

と、ため息をつく。

再度、考えて、自分が、気落ちしていることに気づく。


おかしい!

おかしい!!

うちのタイプちゃう。

ちょい、かわいく思えただけや。

あら、美人すぎる。

おつむも良すぎる。

うちの、守備範囲外や。

美人すぎて、惑わされただけや。

落ちつけ!


何とか自分を取り戻した青西優人あおにしゆうとは、フロアに戻ろうとした。

その時、小梶こかじ店長が、問題発言を、した。

優人ゆうと、副業、いけるのか?たしか・・・内緒ないしょって言うてへんかったかな。」

青西優人あおにしゆうとの顔が、青くなる。

今更ながら、つばきに、副業がバレたことに、気づく。

「やってもうた!」と、心の中で、激しく叫んだのであった。



読んで下さって、ありがとうございます。

今週中に、もう一話、更新できるように、頑張ります!

少しでも、楽しんで頂けると嬉しいです。

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