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美しい花には秘密がある  作者: 美月すず
第一章 長女 つばき編
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椿1

二話同時更新です。プロローグ読んでない方は、まずは、そちらから、お願い致します。

心地よい雨音。

紫陽花あじさいが、咲き誇る道を抜けて行く。

駅から20分。

都会の中の主要駅近郊とはいえ、この辺りは、住宅街も多く、比較的静かだ。

近くには、某私立大学があるが、本日は、日曜日。

学生も、見かけず、人通りも、わりと少ない。


今はグレイの雲にかかって見えない鮮やかな空色の大きめの傘をさした女性が、かっ歩している。

時折、手元の地図を確認して、止まる。

そのとき、ふんわりと揺れた水色のフレアスカートが、少し見えていた太ももを隠すのが、なんだかおしい。

足元は、花柄のレインブーツ。

水色のフレアスカートも、いやらしくない透け感があり、腰で、ゆるくリボンを結んでいる。

トップスは、白色シャツ。首元が、V字に、前と後ろ大きく開いている。そこには、花柄の刺繍がほどこされたいる。ちらりとみえそうな胸元は、チューブトップを着ているため、清楚な雰囲気。袖は、フリルデザイン。

小さな一粒ダイヤのネックレスと、品の良い小さな腕時計をしている。

黒髪は、つやがある。普段は、ストレートだが、今日は、少し気合いをいれたのか、ゆるく巻いている。

肩より少し下くらいで、そのままおろしている。

広めに開いたシャツから、きれいな背中が、少しのぞいているが、傘が邪魔をして、なんとも見えにくい。

眉目秀麗。

年齢は、35歳だが、5つくらい若く見えそうだ。

モデルではないのか?と、思わせる顔立ちとスタイル。

誰が見ても、文句なしの美人。

男性なら、一夜の恋でもお願いしたい。女性なら、一度生まれ変わりたい、そんな美しすぎる女性だ。


目当ての場所についたらしく、地図を表示していた、スマホを、カバンにしまう。

女性に人気のブランドのカバン。色は、落ち着いたピンクである。


「よし!」

意外にかわいい声が漏れる。

女性は、気合をいれ、扉を開ける。

建物は、瓦屋根。木造。

昭和の建物だが、当時は、ハイカラと呼ばれていただろうと思われる。

『こかじカフェ』

看板が、でている。


カランカラン


女性が扉をあけると同時に、扉が開いた際なる鐘が、店内に響く。

店員が、一斉に、挨拶をする。


「いらっしゃいませ!」


言葉は、一緒だが、アクセントが、バラバラだ。

そして、店員それぞれの言葉を告げる。

「おいでやす~」「おでなさいまし~」「まいど~」「おでんせ~」

京都弁、博多弁、大阪弁、岩手弁での、いらっしゃいませという意味。

だが、彼女は、最初の「おいでやす」まで、聞き取って、硬直状態。

店内は、レトロな雰囲気。

木造の作りの店内には、同じく木で作ったテーブルとイス。唐草模様の座布団が、椅子には、置いてある。

20名くらい入る店内には、今は、3人の客。

若いカップル一組と、スーツを着た40代くらいの男性。

店員は、今、見えるだけで、5人。キッチンに、男性1人。フロアーに、女性3人、男性1人。

フロアの男性は、後ろ姿しか見えないが、若いカップルに、給仕中の様だ。

女性店員の一人が、声をかけ、二人かけの丸いテーブル席に案内する。

博多弁で話しかける。20代前半だが、16歳くらいの幼い顔立ちの女性店員の為、彼女は、不安を覚える。


彼女の名前は、中大路なかおおじつばき。

つばきには、ちょっとした秘密がある。

その為、このカフェの特集記事を、見て、わざわざ訪れたのである。

メニューをもらい、『京都コーヒー』を、頼む。

特集記事を読み込んできたつばきにとって、メニューは添え物。

もともと、この『京都コーヒー』が、欲しくて、来たのだから。

どんなにおいしいコーヒーなのだろうか?


つばきは、楽しみなのと恥ずかしいので、顔がゆるんでしまいそうになる。

慌てて、おしぼりで、手をふき、水を少し飲む。

まだ落ち着かないので、窓の外に目をやる。

さっきより、雨が激しくなっているようだ。

息を吐き、顎に手をやり、肘をつく。

平静を装っているが、頬は、少し赤い。

心の中では、ウキウキしすぎて、激しくダンスしているのだ。

沈着冷静。

クール美女に、見えるが、やはり、頬は、ほんのり赤い。

あまりにも楽しみで、自分を抑えきれないようだ。

なんだか可愛いな。と、思えてくる。



「おまっとうさん。京都コーヒーどす。ゆっくりしていって・・・や?!」

フロアの男性店員が、コーヒーを運んできて、つばきに声をかけたが、驚きの声をあげた。

つばきも、待ちに待っていたので、声をかけられ、笑顔で振り返る。

自然と、口元がゆるむ。

しかし、フロア男性店員同様、つばきも驚く。

笑みは、消え、驚きの顔に変わる。

「あ・・・青西あおにし先生・・・。」

フロア男性店員の名前を、つばきは、呼んだ。

自分の勤める、産婦人科の先生である。

つばきより2つ上の先輩である。

仕事とプライベートを、しっかり分けるタイプのつばき。

職場では、クールな先生で、患者には熱く優しく接している。

こんなゆるんだ顔と、可愛い格好できた自分を見られたことに、困惑する。

しかも、一番、苦手な、この青西あおにし先生に、見られるなんて!!!!

できることなら、今すぐ、走り去りたい!

別人です!

と、言いたい・・・・。

て、先生の名前呼んじゃったじゃん!

と、つばきは自然と三河弁がでてきたのも気づかず、対処方法に悩むのであった。



読んで下さって、感謝です!

無理なく、早め、更新、頑張ります!

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