第六話 初めての迷宮 前編
・・・・・そして一か月が経った。学校では毎年恒例の、鍛錬も兼ねた一泊二日の遠足が始まる。カインの学年全員が学校支給である魔物の皮から出来たライトアーマーを着用していた。グロブが2日間だけ借り切った迷宮の入り口に立ち5人の先生を代表して説明を行う。
「よし!皆!揃ったね。この前、説明した通りこの学年の遠足は初級リスロエン迷宮の12階にある大きな広場まで魔物退治しながら進んでそこでキャンプを行います。3分毎に一班づつ出発して貰います。危険な場合は救命魔法具を起動させる事。12階より下は危険ですので決して降りてはいけませんよ!道中の通過ポイントは五か所あります。地図を渡したと思いますが、それぞれのポイントにチェック用の魔法石板を設置しています。飛ばさず魔法石板に魔力を少し注いでから進んで下さい。食料は迷宮に居る授業で教えた魔物や、生えている草花等、各班で確保して下さい。怠けると食事はミルン米のお粥のみとなります。いいですね!」
「「「「「「「「「「はぁ~~~い!!」」」」」」」」
「それじゃあ、用意の出来た班から入り口に並んで下さい。」
次々と入り口に立っている先生の合図で迷宮に入って行く。カインの班編成は男がカインとディエント、引っ込み思案なクボレ、女はフィアラにルセナ、いつもボーっと何処かを見ているスチュアであった。リーダーは話し合いで決まるが全員納得で剣技の優れたカインに決まる。
「それじゃあ、行こうか。」
言葉を発したカインの傍にルセナがくっつき、腕を組んだ。胸を押し付けアピールしている。
「行きましょ!カイン君。」
その行動にフィアラが不機嫌そうにカインへ話した。
「ちょっとカイン!もっと離れて!班で闘わないといけないんだから、そんなにくっついていると戦えないでしょ!」
ルセナがその発言に反論する。
「カイン君は傍に誰が居ようと強いんだから大丈夫よ!」
ルセナの行動に他の班の女子からも非難の声が上がった。
「たまたま同じ班になったからって調子に乗り過ぎ!」
「「「「「そうよ!そうよ!」」」」」
「べぇ~!皆、くじ運が無くて残念ね!」
--何だろう?フィアラの機嫌が良くないな・・。リアナにそっくりだから居心地が悪いぞ・・・。
「いや、ルセナ。魔物が襲ってきたら腕を組んでは対処出来ない。少し離れていた方がいい。」
「はぁ~い・・。」
女子生徒達がうんうんと頷いている。フィアラの機嫌も元に戻っている様だ。カインの班が呼ばれる。
「それではカイン君の班!入って下さい。」
「はい。」
「それじゃあ皆、さっき言った陣形を守ってくれ。」
全員が頷き、扉の前に立つと魔法陣の画かれた扉が開いた。カインを先頭に薄暗い迷宮に入って行く。中の様子は洞窟のゴツゴツとした岩肌の壁や天井が続き、地面は比較的平らに作られていた。カインは左手に火の点ったランプを持ち、右手に前衛用に学院から貸出された青銅剣を持っている。一番回復魔法の得意なフィアラは中心に、ディエントは剣と盾を持ってカインと前衛に位置する。3列目は左側に水魔法と回復魔法を使うルセナ、風魔法と回復魔法を使うスチュアが右に陣取った。もし後ろから攻撃された場合を考えてクボレが剣と背中盾を持って位置している。
迷宮の道は所々に魔力を少し注げば点灯するランプが設置されていて、あらかじめ学院の先生達で注いでおいた物が点いていた。ただ、明るいとは言えずランプの光が届かない場所もある。何も見えない場所もあった。
更にこの迷宮は平均7mの広い通路が続いていている。神により創造された迷宮は異空間に作られていてかなり大きな空間となっていた。入り口のみ世界の各地に繋げられていて人生全てを掛けても踏破出来ないのではと思われる広さの迷宮もある様だ。
「フィアラ、確かこの迷宮は草原の風を司るレーシャ神が創った迷宮だったよな。」
「そう、3級神のレーシャ様が創られた中でも初心者用に創られているの。確か・・地下20階まであるって聞いてる。この迷宮は最下階にいるラストガーディアンを倒したら風の魔装具が手に入るのよ。」
「ラストガーディアン?」
「うん、神様の創られた途轍もなく危険で強い魔物が迷宮宝を護ってるらしいの。」
--ステイリアも何処かに迷宮を創ってるのか?
その話にルセナも乗ってくる。その他の者達は興味深々に周囲を観察したり、ボーっと歩いていた。
「カイン君なら、きっと直ぐに色んな迷宮を完全踏破出来るわよ。」
--それで私に、手に入れた輝く魔装具のネックレスをそっと首に掛けてくれてこう言うの。”ルセナ・・似合ってるよ”キャ~~~!!カイン君!顔が近いわ!・・あ・・・私のファーストキス・・・。
妄想を膨らますルセナに斜め前を歩いているカインが声を掛ける。
「ルセナ。」
「な!何!?カイン君!!」
「頭、打つぞ。」
ゴン・・。
通路に突き出した大きな岩にルセナは頭を打ち、手でその箇所を抑えた。
「早く言って・・。」
少し進むと道が3方向に分かれていてカインはその先にある部屋を透視する。真ん中の道に続く部屋では先に出た二つの班が3匹の魔物と戦っていた。エシ木という二匹の魔物とレシレビ蛇の一匹である。右の道に続く部屋ではマウモリ蝙蝠2匹とデロクル木という栗の様な木の実を飛ばして来る木の魔物2匹がいた。
--デロクル木が飛ばして来る木の実とマウモリ蝙蝠は食べれるって言ってたな。どちらも美味しそうでは無いが。だが食べ物は確保しておかないと。
「皆、左に行きたいがいいか?」
全員、頷いて進んで行く。行き止まりの扉を開ける前にカインが声を掛けた。
「皆、気を抜くな。魔物がいるかも知れない。」
フィアラがそれに応える。
「分かるの?」
「勘だがな・・俺から入る。」
カインが先に入る。魔物達は暫く動かず全員が入った瞬間、襲い掛かって来た。デロクル木の二匹は魔法陣を出すと身体に木の実を付け回転をしながら木の実を飛ばして来る。それをディエントは盾で防ぎ、カインも剣の腹で叩き落していった。
--攻撃と言える物じゃないな・・初級者用迷宮だからか?手でも全て取れるぞ・・がやめておこう。又目立ちそうだ。
マウモリ蝙蝠が部屋の天井から離れて飛んでくる。口の前に小さな魔法陣を生むと、そこから超音波を出してきた。頭に受ければ脳が揺さぶられ頭痛を起こしてしまう。頭上からの素早い攻撃の為、大きな盾では咄嗟に防げない。
「我はフィアラ!癒しを司る3級神ステイリアに願う!!頭上にいる敵に健やかなる眠りを!アキセス!!」
フィアラの上げた右手の前に魔法陣を創り、そこから直径20cmの白い輪が二つ飛んで行く。その一つがマウモリ蝙蝠に当るとフラフラとディエントの足元に落ちた。ディエントはマウモリ蝙蝠が復活する前に剣を突き刺す!もう一匹のマウモリ蝙蝠が天井から離れる前にルセナが清流を司る3級神スーラシャンテに願い魔法を使った。
「我はルセナ!清流を司る3級神スーラシャンテに願う!我が敵に水の刃を!アキセス!!」
ルセナが創り出した魔法陣から幅20cm程の水の刃が飛んで行く。マウモリ蝙蝠が避けようと飛び立つが広げた片翼に当り、マウモリ蝙蝠は落下した。
デロクル木へスチュアが草原の風を司る3級神に願い、風魔法を使おうとするとカインがそれを止める。
「我はスチュア!」
「スチュア待つんだ!デロクル木には、このまま魔力が尽きるまで木の実を飛ばして貰って食料を確保しよう!」
スチュアは頷く。ディエントは盾で飛んで来た木の実を落としていく。カインはディエントが防げなさそうな物のみ剣の腹で落とした。
暫くして二匹のデロクル木は魔力が尽きたのか回転を止めて直接攻撃しようと近づいて来る。
「スチュア、いいぞ。」
「我はスチュア!草原の風を司る3級神レーシャに願う!我が敵に風の刃を!アキセス!」
スチュアの魔法陣から風の刃が二本飛んで近付いて来たデロクル木へ飛んで行く!
デロクル木の枝5本を風の刃が斬り落とした。デロクル木は枝を斬られるとピクリとも動かなくなり、その隙にディエントが剣を突き刺すと小さな石を落とす。迷宮の魔物は迷宮外に居る魔物と違い倒した後、素早く欲しい箇所を切る必要があった。それは迷宮に吸収されて消えてしまう為である。もう一匹はディエントが態勢を整える前に攻撃しようとするがカインが剣の水平斬りで一撃で倒した。
「魔石ゲットだね!」
ルセナが喜んでいる。魔石は魔力の結晶体で、それらを使用して魔法具や魔法装備を作れる事が出来た。小さな魔石は魔力を使い果たすと只の石に変わってしまうが多くの魔力を込められた魔石は時間が経つと呼吸するように空気中のエネルギーを吸って何度でも使用可能である。強い魔物程、高価な魔石を落とした。
「ああ、これが魔石か。」
魔石は小さな物でも利用価値があり、冬であればストーブの熱源に変わり夏であれば扇風機や冷風装置のエネルギー源等として使用できる。その為、小さな魔石は子供達の小遣い稼ぎにもなった。ルセナがカインに問い掛ける。
「それで誰の物にするの?」
「ん?俺は要らないから誰の物でもいいぞ。」
「カイン君がリーダーだから皆が揉めない様に決めて。皆!それでいい?」
「「「うん。」」」
「はい。」
「それじゃあ、揉めない様に取り敢えず預かっておく。地下12階まで辿り着いた時に全て均等に分ける事にしよう。いいか?」
皆が納得した顔で頷いた。カインはそれを魔法具の魔法鞄に容れる。この収納魔法鞄は学校から一班に一つ貸与されていた。中には最低限のキャンプグッズが入っている。高級収納鞄ともなると持っているだけで引っ越し業を営めた。
「それじゃあ、行こう。」
--向こうの部屋の班も無事魔物を倒したみたいだな。
カインが透視ESPで確認すると一人だけ軽い怪我をしていて、他の生徒が回復魔法を掛けている。カイン達が奥に進むと又分かれ道に突き当たった。左を進んだ部屋にはレノ羊が一匹居て、右を進んだ部屋にはニョロニョロと蠢くクラムミミズが三匹居た。
--選ぶまでも無いな・・。
カインが左へ進もうとするとフィアラが尋ねる。
「今度はどっちに行くか聞かないの?」
「他の生徒に聞いた話だが、ここを右に進んだ部屋にはクラムミミズが高確率で出現するらしい。」
ルセナとフィアラが声を合わせた。
「「左で決定!」」
スチュアだけは反対している。ディエントとクボレはクラムミミズを苦手とはしておらず、それを聞いて笑っていた。
「右で決定・・クラムミミズはスープにすると美味しい。」
カインは少し困惑した表情を見せて話す。
「・・済まない、スチュア。一応班で動いているから、ここは多数決で行こう。俺も左がいい。」
「残念・・。」
「「ほ・・・。」」
フィアラとルセナが胸を撫で下ろしている。そのまま左へ進み、カインを先頭に部屋に入った。迷宮の魔物は全員が入るまで動かない。但し、それを利用して誰かを残したまま弓矢や魔法で攻撃すると襲ってくると授業で習った。レノ羊は地球よりも一回り小さい仔羊サイズで、それよりも大きくはならないが素早い。子供であれば突進により吹き飛ばされてしまう。
カイン達が部屋に入るとレノ羊は左前足を地面に擦り、こちらをジッと睨んでいる!カインが指示を出した。
「皆!相手は一匹だ!授業の通りディエント!俺達でまずレノ羊を引き付けよう!」
レノ羊は急に曲がる事を苦手とし、突進を避けた直後を攻撃することが安全な倒し方である。
「はい!カインさん!」
「皆はレノ羊が通り過ぎた所を魔法で攻撃してくれ!クボレも攻撃出来そうなら攻撃するんだ!」
「「はい!」」
「・・うん。」
「あ・・うん。」
レノ羊がカインとディエントに近付いていく。カイン以外は緊張した表情でレノ羊の行動を見ていた。レノ羊はディエントへ急に走り出す!
「ディエント!今だ!避けろ!」
「はい!」
レノ羊が近づいた所でディエントが横に飛んだ!レノ羊はそのまま壁に激突する!
ドスン!!
「我はスチュア!草原の風を司る3級神レーシャに願う!我が敵に風の刃を!アキセス!」
スチュアの風の刃が魔法陣から一つ飛んでレノ羊に突き刺さる!レノ羊は応酬の為、振り向こうとするが壁に刺さった角が邪魔をし動けない!そこにルセナが水の刃を放とうとしたがカインが制する!
「ルセナ!ディエントとクボレが近づいている!魔法は危険だ!待ってくれ!」
「はい!」
ザシュ!ザシュ!
レノ羊は二人の攻撃を受けた後、動かなくなる。魔石は出ていない。レノ羊を全員で解体して肉の状態にすると魔法鞄へ収納する。この世界では獲物の解体方法を小さい頃から教えられている為、捌き方も全員上手であった。但しクボレだけは解体するのが苦手らしく、食べられない不要なものを部屋の隅に運ぶ役割をしている。
「皆、残魔力量は大丈夫か?」
ルセナが手を横に振りながら話す。
「カイン君、これぐらいの戦闘じゃ全く問題ないわ。1番魔力量の少ないクボレも魔法は使用していないことだし。」
「そうか、疲労は?」
疲労は全員が問題ないと首を横に振る。
「分かった。魔力量や体力に変化があったら都度教えて欲しい。それに合わせて休憩や戦い方を変更しよう。」
4人とも頷く。ルセナがニコッとカインに微笑みかけながら話す。
「私ね、本当は初めての迷宮授業だから、ちょっと不安だったんだ。でもカイン君がいるから大丈夫って心に言い聞かせてたの!でももう今はそんなのも吹き飛んじゃった!だってカイン君の落ち着き様と見てると、強い先生が傍で守ってくれてる様な安心感があるから!」
スチュアもコクリと頷き呟く。
「・・確かに。」
再び4人も頷く。カインは微笑み返し注意を促す。
「そうか、それは良かった。だが油断は禁物だ!戦場では何が起こるか分からない!どんな困難でも最後の最後まで諦めるな!他人を守るのは自分を守れるものがすることだ。まずは自身の身を守れ!」
「やっぱり安心する!はい!隊長!」
ルセナはカインを全力で見つめながら手を上げて敬礼して話す。カインは、ルセナの反応に頷いた。フィアラは複雑そうな顔でそれを見ている。二度クラムミミズの居る部屋を回避して、魔物を倒しながら進むと下へ降りる階段が見えてきた。ここまで、先に入っていた4班を通路で追い越している。地下3階へ降りる手前の通路でデルドアの班が走って追い掛けて来た。
「カイン!おっ先〜!!」
「ああ、頑張れよ。」
デルドアはそれを聞いてカインの傍で急停止する。
「おい!なんだよ!競おうぜ!!」
「いや、この班はマイペースで進む。それよりもお前の班、みんな息切れ状態だぞ。少し休んだらどうだ?」
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・。」
デルドアは後ろに居る自身の班を見ながら話す。デルドア以外全員汗だくで、カインと話す間も通路に座りヘタリ込んでいる。デルドアの班の生徒は魔法も剣の実力も微妙でありデルドアがいないと先に進めそうもなく必死に付いて走っていた。
「大丈夫だって!俺さえ元気なら余裕だし!それじゃあゴールで待ってるぜ!」
「ああ、気を付けてな。」
--あの班、大丈夫か?
デルドアが班を率いて走り去り、ルセナがカインに話し掛ける。
「いいの?カイン君。」
「何がだ?」
「デルドア君に一位取られちゃうよ。」
「いいんだ、先生も言ってただろ。この迷宮訓練は皆が成長する為に行うと。だったら急ぐ必要無いさ。この班に必要な訓練はデルドアの班とは違う。皆は自身の足りない事を自覚して、そこを伸ばせばいい。」
「・・カイン君を見てると自分が幼く見えてちょっと悔しいな。私より2歳しか離れて無いのに、時々先生よりも年上に見えるもの。」
「そんなに老けて見えるか?」
「フフ・・そんな所もね!でも!それもカイン君の魅力!」
ルセナがカインを見つめて頬を赤く染めながら話した後、照れ隠しに先頭を早足で歩き出す。フィアラは心にあるモヤモヤ感が何であるのか分からず何も言えない。心配そうにカインの表情をチラチラと見て探りつつ歩いている。
--カインはルセナの事をどう思ってるのかな?・・何!?この気持ち!!?う~~~!!
カインはルセナの言葉に反応せず無言で歩いていた・・・その後順調に進み、現在は地下5階を降りた通路である。カインの班の前を進んでいるのはデルドアの班と他一班だけであった。不意にカインが立ち止まり言葉を発する!
「!?皆!・・おかしいぞ?迷宮の雰囲気が全く異なって来ている!フィアラ!この地下5階から下は別世界なのか!?」
「ううん!地下12階までは魔物が少しづつ増えるだけよ。」
「そうか・・。」
カインは魔法鞄から救命魔法具を取り出す。それを見たルセナが慌てて声を掛けた!
「ちょっとカイン君!それを使ったら途中棄権になっちゃう!!」
「済まない、ここは俺を信じてくれ!地下深くから、今まで感じなかった強い力を感じる。」
「そうなの!?私には全然分からないけど?」
「悪いが説明してる暇は無い!」
「「「「あ!」」」」
救命魔法具にカインが魔力を注ぐが何も起こらない・・・。救命魔法具を起動すれば教師たちがその信号を受け取り助けに来てくれる事になっている。
「駄目だ・・全く反応しない。」
ルセナが救命魔法具が起動しない事に驚き、自身でも試そうとする。
「嘘!?カイン君!ちょっと貸して!・・カイン君の言う通りだわ!何かおかしい!!引き返そう!」
全員が不安と緊張を表情に出して頷いた。
「フィアラ!俺はデルドアともう一つの先に行っている班を捜しに行く。帰りのリーダーを頼む。」
「え!?何言ってるの!先生に任せた方がいい!」
ルセナが頷きながらフィアラに同意する。
「そうよカイン君!危険すぎるわ!」
「放っておけば、どんどんあいつらは先に進んでしまう!深く進めば更に危険になるだろう。俺なら大丈夫だ。他の班を見つけたら、直ぐに戻る!じゃあ外でな!」
「待って!カイン!!」
「カイン君!!」
カインは猛スピードで走り、通路の奥に消えて行く!フィアラはカインの心配をしつつも先生に報告する事とカインから任されたリーダーを遂行しようとした。
「皆、先生の下に急いで戻りましょう!部屋の分岐点で他の班の声が聞こえたら手分けして皆に説明して避難よ!」
「フィアラ!カイン君を置いていくつもり!!」
「・・カインなら大丈夫!それよりも、ここに居て危険な目に合ったらカインにもっと迷惑を掛けちゃう!」
「・・そうね・・分かったわ!」
カインは少し走った先で感応ESPを使う。
--靄が掛かっている様で分かりずらいが、この階には多分居ないな・・。そうか!ステイリアなら同じ神だし今の状況が分かるかもしれない!
「我はカイン!癒しを司る3級神ステイリアに願う!呼び掛けに応えよ!アキセス!」
--「ステイリア!聞こえるか!?」
{・・・はい!は~い!お待たせ~ってカイン!?この迷宮!ハグレ神に乗っ取られ掛けてる!!}