第一話 惑星ガルダ
「この星の人類は俺達以外もう全滅だ・・。今からお前達を違う星にテレポートさせる。ずいぶん前から感応ESPで調べていたんだ。一光年程先の星に多くの人らしき生命体反応があった。もしかするとリアナの病気も、そこなら治せるかもしれない。」
3人がいる建物の周りではミサイルやレーザービームなどが飛び交い、ドドドドドドーン!!ガガガガガッ!!等の振動を伴う凄まじい爆発音が鳴り響いて建物が揺れている。3人は近未来的な白のボディースーツを身にまとっていたが、一人の少女はその姿のままベッドに寝ていて爆音が鳴り響く中、起きる様子もない。
「何言ってんだっ!カイン!いくらファイブS級のお前でも1光年先なんて遠い星に飛ばせる訳が無いだろっ!それに俺達をってどういう事だよ!お前はっ!?お前はどうするんだ!!」
「グラント、お前が作ってくれたメガアドファブースターがあれば可能だ。俺も後から追いかける、心配するな。」
「馬鹿野郎っ!それは、まだ未完成って言ったろうっ!使えたとしても一回だけだ!お前のマックスパワーで使えば俺達を飛ばせたとしてもブースターの暴走で何が起こるか分からない!下手をすれば星ごと吹っ飛ぶぞ!!」
「もう決めたんだ。リアナが目覚めたら宜しく言っといてくれ。」
「馬鹿!絶対、そんな事させねぇぞ!!リアナはお前の事が好きなんだ!お前が居なくなったら、どんなに悲しみ苦しむかっ!俺だって親友のお前が居なくなるなんて耐えられないっ!!」
「あぁ・・俺はお前達が死ぬのが耐えられない!」
カインは右手を二人に向けて頑丈な球状のESP防御膜で包んでいく。
「待てっ!させねぇぞっ!!・・ハァ~~~~~~!!」
グラントがESPを使ってカインの邪魔をしようとする。カインにはグラントから白いオーラが波紋の様に出ていくのが見えた。超能力を持たない人間には見えないオーラである。カインが少しだけ右手を動かすとグラントから出ていたオーラが霧散して消えた。
「無駄だ、お前のESP能力では俺には効かない。じゃあな・・・グラント、元気でな。」
カインは直径25cmのブースターを両手の間に浮かべる。ブースターと同期する様に意識を集中する。ブースターが輝き出すと半径30kmの空間が凝縮したエネルギーに耐えられず、歪んでいき空間の裂け目があちらこちらで発生する。建物の外を走るロボット自走車やロボット兵達は歪みで捻じれながら爆発していく。
カインも二人の防御膜の強化とテレポートに出来る限りの力を注いでいて、自らには薄い防御膜しか張っていない。全身傷だらけになり血を流す。
「よせ~!頼む!!止めてくれ~~~!!」
グラントが涙を流し、骨折するほど激しく拳で防御膜をドンドン!と叩き続ける。ゆっくりと二人を包む防御膜の球が浮かび上がりブースターの光が辺りを照らして、二人は姿を消した。
「カイ~~~~~~~~~~~~ン!!!」
「上手く行った様だな。俺は・・・無理か。」
カインの足元には二つに分かれたブースターが転がっている。今も暴走するエネルギーにより光を発し続けていた。
--少しでも道連れに、あの糞ロボット共を壊してやる!!
カインは念動力ESPを使って身体を浮かす。空に飛ぼうとした瞬間、ブースターが轟音と共に超爆発を起こした!
カッ!!ゴォォォォォォォ~~~~~~!!!
カインは背後にあった大きく裂けた空間の中に飛ばされていく!
「くっ!!・・・・ハァッ!~~~~~~!!」
カインは残り少ない全ての力を使って、空間亀裂内の荒れ狂うエネルギーに潰され無い様にサイコバリア(ESP防御壁)で防いでいた。しかし2日と11時間程経って、ファイブS級であったカインも力尽きてしまう。
--・・・・・もう・・・ダメだ・・・リアナ・・グラント・・・・無事で・・・・・・。